※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
JWFメダルポテンシャルアスリート育成システム構築事業
プロジェクトマネジャー 清水聖志人
キックオフミーティング
9月20~23日の期間、東京・味の素ナショナルトレーニングセンターにおいてメダルポテンシャルアスリート育成システム構築事業(以下、MPA)の一環にて、国内育成プログラムU-12MPAキャンプを実施した。今回のキャンプでは日本レスリング界の将来を担うU-12世代(小学校6年生以下)の有望選手45名(男子27名:女子18名)が参加した。
若手世代の強化としては、2001年から大学生や高校生の選抜選手によるNTS(以下、ナショナル・トレーニング・システム)が行われており、毎年ブロック研修会や中央研修会が実施されている。しかし、強豪国における国際競技力向上戦略の動向を概観すると、より早期からのタレント発掘・育成・強化を戦略的に推進していることが見て取れる。その様な背景を踏まえ、本事業においては、U-12からU-15、カデット(U-17)、ジュニア(U-20)を対象とし、高品質な機会を提供し、既存の強化システムであるNTSやナショナルチームへと繋げる道筋(パフォーマンスパスウェイ)を構築する。
田南部力コーチよる技術指導
レスリングのMPA事業は「インテリジェントレスラーの育成」をコンセプトとし、全国のU-12世代、U-15世代、カデット世代、ジュニア世代から優秀なタレントを発掘し、国内育成プログラム(MPAキャンプ)によって育成を行う。MPAキャンプに参加した中で、特に優秀なタレントには海外育成拠点での実践機会を提供する。また、高度レベルの競技活動を通して得た経験や知識を基に、日本のリーダーとなれるアスリートの育成を目指すため、「教育プログラム」に注力しているのが特徴である。
マットにおけるトレーニングにおいては、ナショナルチームも指導するコーチが基本技術を徹底して指導した。コーチは「これから日本を代表することの責任を持ち、生活面から自覚を持った行動をとってほしい。また、この年代で基本技術を徹底して行うことが重要、今回習った技術を、所属で何度も反復してほしい」と要望した。
教育プログラム(佐藤満教授)
ロンドン五輪においてフリースタイル60kg級の、Asgarov, Togrul (アゼルバイジャン)は、19歳で金メダルを獲得した。同選手は、この2年前に世界選手権のファイナルに進出している。U-12世代は、十分に2020年東京五輪を狙うことが可能であり、MPAによって、各年代に応じた適切な機会を提供することで、現在のU-12年代からジュニア世代までの国内競争を激化させることが2020東京五輪そしてその後の育成、強化、普及につながると考えられる。
今後は、客観的指標を用いて種目転向プログラム(グレコローマンのスペシャリスト育成)や、海外育成拠点において、中・長期留学で強化・育成する展開も実施する予定である。
本事業は、オリンピック競技大会において永続的にメダルを獲得できる強化・育成システムの構築を目指すものであり、文部科学省及び独立行政法人日本スポーツ振興センターより事業の成果報告が求められる。このことから、本協会に関わる全ての関係者が方向性を共有し、事業の推進に努める必要がある。
![]() 形態測定(InBody) |
![]() 適正テスト(キャットバンドレスリング) |
![]() フィットネス測定 1500m走 |
![]() 教育プログラム(田南部 力コーチ) |
![]() 教育プログラム(小原 日登美 氏) |
![]() 練習の様子①(スパーリング) |
![]() 練習の様子②(スパーリング) |
![]() 練習の様子③(技術練習) |
![]() 練習の様子④(技術練習) |
![]() 形態・フィットネスデータの測定 |