※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
共同通信によると、世界アンチ・ドーピング機関(WADA)は、採取した検体の再検査のための保存期間を従来の8年間から10年間に延長することを決めた。巧妙化するドーピングの対策のひとつで、現在は検出できない新種の薬物でも、医学技術の発達によって将来、摘発するための措置。
国際オリンピック委員会(IOC)のリュンクビスト医事委員長(スウェーデン)は「今回の検査をすり抜けても、10年は逃げ切れない」と話したという。
今月のソチ冬季オリンピックでは、前回の2010年バンクーバー大会を518件上回る2667件(血液検査477件、尿検査2190件)のドーピング検査を行い、競技前の抜き打ち検査は前回大会から約60%増の1421件。IOCは薬物汚染に対して厳しい姿勢を示している。
現段階で陽性反応を示したのは6選手で、サプリメントなどにも含まれる成分もあったという。禁止物質が含まれていたことを知らずにサプリメントを摂取して体内に入った可能性もあるというが、リュンクビスト医事委員長は「オリンピックに出場する選手ならサプリメントの成分を知る必要がある。それが選手の責任で、同情する必要はない」と、選手の自覚をうながした。
レスリングでは、昨年の世界選手権で優勝したイラン選手が陽性反応を示し、優勝を取り消されるとともに、2度目のドーピング違反で、レスリングでは4人目の永久資格停止処分を受けた。現在、23選手が出場停止処分を受けている。日本選手で処分中の選手はいない。