※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
ロンダ・ラウジー(左)とサラ・マクマン
セミファイナルには、男子フリースタイル96kg級で2004年アテネ・2008年北京両オリンピック代表のダニエル・コーミエ(米国)も出場し、パトリック・カミンズ(米国)と対戦する。1993年にスタートしたUFCの歴史で、オリンピック選手同士が対戦することと、3人のオリンピック選手が出場するのは初めてという。
総合での成績は、ラウジーが8戦全勝(UFC2試合を含む)、マクマンが7戦全勝(UFC1試合を含む)で、両者の対戦は全勝同士の対決。コーミエも総合で13戦全勝をマーク(UFC2勝を含む)。連勝記録の更新を目指す。
マクマンは14歳でレスリングを始め、2000年に世界選手権女子62kg級に初出場(9位)。その後、63kg級で2003年世界選手権と2004年アテネ・オリンピックで銀メダル獲得し、米国女子初のオリンピック・メダリストとなった。2003年のクリッパン女子国際大会(スウェーデン)では伊調馨を破っている。
2008年北京オリンピックを逃した後、グラップリングへ挑戦。2009年世界選手権の女子No-Gi63kg級で優勝し、その後、総合格闘技に身を投じた。 2004年アテネ・オリンピック決勝で伊調馨と闘うサラ・マクマン
総合格闘技は、かつて日本でも東京ドームなどに数万人の観客を集める人気を博していた。「PRIDE」や「戦極」などが消滅し、現在は修斗やパンクラスが後楽園ホールなどで行う程度となっている。
米国ではUFCが最盛期。メーンイベンターのファイトマネーは40万ドル(約4080万円)とも言われ、年間で数億円を稼ぐ。初期のUFCは「バイオレンス」として開催禁止の州も少なくなかったが、スポーツ化された現在では、USAツデー紙などがスポーツとして結果を報じているほど。
一方で門は狭く、出場するには総合の中小団体で実績を残してスカウトされなければならず、他競技での実績は無関係。海外を主戦場にしている北京オリンピック柔道金メダリストの石井慧も、まだデビューできていない。デビューできても、負けが続けば、どんなに人気があろうとも容赦なく契約を解除される完全な実力の世界となっている。