※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
帰路、飛行機が飛ばないアクシデントにもめげず帰国した学生選抜チーム
グレコローマンで銅メダル1個という成績に、吉本収監督(神奈川大職)は「最低でも各スタイル1個はほしかった。全体的に国際大会の経験不足というか、試合慣れしていない面が目立った」と振り返った。外国選手の開始直後からたたみかけるような爆発力に対し、最初はしのいで互角近くに闘うことができても、そのしつこさの前に対応仕切れなくなったことが多かったそうで、「日本での闘い方は外国選手相手に通用しないことを知ってくれたと思う」と話した。
かつて、外国選手相手の日本選手の勝ちパターンは、序盤の攻撃をしのぎ、スタミナ勝負に持ち込むだった。しかし、「相手をばてさせたと思ったのに、自分もばててしまっている」というのが現状。「体力不足」と話す一方、旧ルールの1ピリオド2分というルールに合わせて練習してきたことで、「もしかしたら2分という時間までしか対応できないようになっているのかもしれない」と話した。 吉本収監督(左)と神奈川大から唯一参加の阪部創
往復の移動の時にトラブルに見舞われたという。行きは、トランジットでの手荷物検査に手間取った選手がいて、吉本監督ら4人が予定の飛行機に乗れず、後の便で追っかける展開に。帰りはコロラドスプリングズの空港へ到着後、飛行機が機体の関係なのか飛ばないことが判明。
ニューヨーク経由に変更するなどの話もあったが、当初の経由地のデンバーまでタクシーを出してくれることになり、飛行機なら約30分の距離を、1時間半以上の時間をかけて陸路で移動。デンバー発の成田空港行きに間に合い、予定通りの帰国となった。吉本監督は「海外ではいろんなアクシデントがある。それでも力を出さなければならないことを分かってくれたと思う」と、苦笑まじりに振り返った。
チームで唯一メダル(銅)を取ったグレコローマン59kg級の松澤力也(日体大3年=60kg級学生王者)は「メダル獲得の目標を持っていたので、取れてよかった。外国でのメダル獲得は初めて。率直にうれしいです。外国選手は、日本選手と比べて身体能力が高いことを感じましたが、今までやってきた自分の形で攻めることができたのがメダルにつながったと思います」と、自分のレスリングがまずは貫けたことを話した。 チームで唯一メダルを取った松澤力也
階級区分変更により、今後は59kg級でやっていく予定。この階級は、従来の55kg級と60kg級の選手が集まる階級であり、日体大の中でもOBを含めて超激戦区。「去年は勝ったり負けたりだった。今年は学生には絶対に負けず、学生二冠(全日本学生選手権、全日本大学グレコローマン選手権)を取って全日本選手権でも優勝したい」と、このメダルをステップに日本一への道を目指すことを誓った。
■グレコローマン・米平安寛主将(98kg級=日体大、2勝2敗)「日本での試合と違い、気持ちの作り方などで戸惑う面はありました。2勝して4試合でき、満足はしていませんが、いい経験になったと思います。ヨーロッパでのグレコローマンよりは少し落ちる大会だったかもしれませんが、外国の選手は力があり、体がしっかりしている選手が多かった。もっとパワーをつけないと対応できないと思いました。手ごたえというより、やらなければならないことをたくさん見つけられました。卒業後は日体大に寮監のような形で残り、レスリングを続けます。世界学生選手権に選ばれたら、今度こそメダルを取りたい」
■フリースタイル・北村公平主将(74kg級=早大、4位)「2年前の2戦2敗より多く試合ができ、自分の狙った技ができた大会でしたが、フリースタイルでメダルを取れなかったのは残念な気持ちです。唯一のメダル獲得のチャンスに自分が残ったのに…。準決勝で負けた試合は、ラスト30秒で2-2に追いつき、ビッグポイントで負けていたので勝負にいったところを、場外際で投げられてしまい、2-9と離されてしまいました。優勝を狙えた大会だと思いました。74kg級はアメリカの選手(ジョーダン・バローズ)が世界一ということもあり、レベルが高かったです。その中でこの成績を残したことは、今後の手ごたえめいたものを感じました」