※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子)
1-3からの逆転劇! 山梨・小瀬スポーツ公園武道館で行われた関東高校選抜大会の学校対抗戦は、昨年優勝の霞ヶ浦(茨城)が決勝で館林(群馬)を4-3で下し、3年連続28度目の優勝を決めた。どのチームも3年生が抜けて、全体的に選手層の薄さがネックになる時期。その中で総合力を見せつけたのは、昨年王者の霞ヶ浦だった。
階級 | 霞ヶ浦 | ○[4-3]● | 館 林 | ||
50kg | 岡迫大誠 | 3-4 | ○ | 寺田有輝 | |
55kg | 小林大樹 | ○ | TF5:01(10-2) | 萩本 龍 | |
60kg | 大山允長 | TF1:27(0-8) | ○ | 佐々木拓海 | |
66kg | 井筒 諒 | 1-2 | ○ | 木村優太 | |
74kg | 奥田海人 | ○ | 4-3 | 齋藤隼佑 | |
84kg | 石澤誠悠 | ○ | TF1:34(8-0) | 田口拓海 | |
120kg | 伊藤匠汰 | ○ | F0:19(3-0) | 吉澤瑠依 |
74kg級の奥田海人主将は「去年より戦力が落ちていると、危機感を持って練習してきた」と、自分たちの弱点を自分たちなりに克服しようと努力して臨んだ。昨年、コンスタントに試合に出ていたのは奥田主将や55kg級の小林大樹。多くの選手が新戦力としてデビューを飾ったため、今シーズンの勝利の方程式はまだ確立されてなかった。
優勝決定後、大澤監督のアドバイスを聞く霞ヶ浦選手
もちろん、埼玉栄に勝って一安心とはいかなかった。決勝は昨年と同じく館林(群馬)だったが、館林の今年の戦力は軽量級がパワーアップしており、花咲徳栄戦では55kg級から74kg級まで一気に4連勝で勝負をつけていた。
■大監督の節目を飾るため、チームが一致団結する!
そんな館林との決勝で、霞ヶ浦は1-3と追い込まれてしまう。霞ヶ浦の入江和久コーチは「館林は軽量級が強いと警戒していたが…。後ろ3つを取ってくれると信じてはいても、3敗してしまうと重量級の選手に余計なプレシャーがかかってしまう」と話し、嫌な予感に襲われたという。5番手に登場した奥田主将も「正直硬くなってしまった」と苦笑い。
結局、奥田が地力を発揮し、予定通りに74kg級から3連勝して4-3で勝利したが、内容は、冷や冷やしたものだった。入江和久コーチは「樋口がまとめていた昨年に比べると、まとまりがなかった」と今後の課題を挙げた。
チームワークの確立には、奥田主将の手腕にかかっている。奥田主将は「今年は大澤先生(友博=監督)が60歳の還暦を迎えます。その節目を、キャプテンとしてしっかりまとめていきます」と話せば、入江コーチも「自分の恩師でもある大澤監督のために、今年も春夏連覇を達成して大澤監督の節目を飾りたい」ときっぱり。
チームが一致団結すれば、今年も強い霞ヶ浦になりそうだ。
![]() 決勝でリフト技を決めた小林大樹 |
![]() 決勝で4勝目を挙げた120kg級の伊藤匠汰 |