2014.02.02

【関東高校選抜大会・特集】霞ヶ浦(茨城)が3年連続で制覇! 今年も春夏連覇目指す

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文・撮影=増渕由気子)

 1-3からの逆転劇! 山梨・小瀬スポーツ公園武道館で行われた関東高校選抜大会の学校対抗戦は、昨年優勝の霞ヶ浦(茨城)が決勝で館林(群馬)を4-3で下し、3年連続28度目の優勝を決めた。どのチームも3年生が抜けて、全体的に選手層の薄さがネックになる時期。その中で総合力を見せつけたのは、昨年王者の霞ヶ浦だった。

《決勝戦・内訳》

階級 霞ヶ浦 ○[4-3]● 館 林
50kg 岡迫大誠   3-4 寺田有輝
55kg 小林大樹 TF5:01(10-2)   萩本 龍
60kg 大山允長   TF1:27(0-8) 佐々木拓海
66kg 井筒 諒   1-2 木村優太
74kg 奥田海人 4-3   齋藤隼佑
84kg 石澤誠悠 TF1:34(8-0)   田口拓海
120kg 伊藤匠汰 F0:19(3-0)   吉澤瑠依

 74kg級の奥田海人主将は「去年より戦力が落ちていると、危機感を持って練習してきた」と、自分たちの弱点を自分たちなりに克服しようと努力して臨んだ。昨年、コンスタントに試合に出ていたのは奥田主将や55kg級の小林大樹。多くの選手が新戦力としてデビューを飾ったため、今シーズンの勝利の方程式はまだ確立されてなかった。

小林は、昨年団体戦無敗と絶対的な存在だった樋口黎の代わりに50kg級から階級を上げて55kg級に座ったが、「けがなどで、60パーセントの仕上がりで、あまり動けなかった。(樋口先輩の後任という)プレッシャーもあった」と、準決勝の埼玉栄戦では吉村拓海に黒星。全勝とはならなかった。だが奥田主将は「勝ちそうな内容でチームに勢いがついた」と振り返り、小林が軽量級の柱として活躍したことをねぎらった。

 もちろん、埼玉栄に勝って一安心とはいかなかった。決勝は昨年と同じく館林(群馬)だったが、館林の今年の戦力は軽量級がパワーアップしており、花咲徳栄戦では55kg級から74kg級まで一気に4連勝で勝負をつけていた。

■大監督の節目を飾るため、チームが一致団結する!

 そんな館林との決勝で、霞ヶ浦は1-3と追い込まれてしまう。霞ヶ浦の入江和久コーチは「館林は軽量級が強いと警戒していたが…。後ろ3つを取ってくれると信じてはいても、3敗してしまうと重量級の選手に余計なプレシャーがかかってしまう」と話し、嫌な予感に襲われたという。5番手に登場した奥田主将も「正直硬くなってしまった」と苦笑い。

 結局、奥田が地力を発揮し、予定通りに74kg級から3連勝して4-3で勝利したが、内容は、冷や冷やしたものだった。入江和久コーチは「樋口がまとめていた昨年に比べると、まとまりがなかった」と今後の課題を挙げた。

 チームワークの確立には、奥田主将の手腕にかかっている。奥田主将は「今年は大澤先生(友博=監督)が60歳の還暦を迎えます。その節目を、キャプテンとしてしっかりまとめていきます」と話せば、入江コーチも「自分の恩師でもある大澤監督のために、今年も春夏連覇を達成して大澤監督の節目を飾りたい」ときっぱり。

 チームが一致団結すれば、今年も強い霞ヶ浦になりそうだ。


決勝でリフト技を決めた小林大樹

決勝で4勝目を挙げた120kg級の伊藤匠汰