※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
《文・撮影=中嶋耕平(スポーツ医科学委員長=ドクターとして同行)》
中島ドクターとイラン・フリースタイルチームの専属ドクター
練習会場は、「The AZADI Sport Complex」と呼ばれる総合運動競技施設に隣接するナショナルトレーニングセンター(レスリング、サッカー、バレーボール、カヌー&ボートなど)内にある「レスリング・ハウス:イランレスリング協会」が使用されている。
日本チームは上記施設からバスで15分程度のホテルに宿泊し、午前・午後の二部構成でイラン・ナショナルチームと同じメニューを消化している。
練習内容は、大会直後ということもあり、リラックスを目的としたボールゲームから、ウエートトレーニング(筋力測定を含む)、ランニングメニュー、スパーリングと、練習内容のバランスを重視した豊富なメニューが組まれているようである。
今後は徐々に実践的な内容に移行すると予想されるが、興味深いのは選手の練習環境。「レスリング・ハウス」はテヘラン市内から車で約40分程度の場所にあり、シニア・ナショナル用の合宿棟(マット5面)とジュニア・ナショナル用の合宿棟(マット4面)が並列して設置されている。 マット練習:十分なスペースと厚い選手層が確保されている
各合宿棟には4~5人の管理人がいて、施設内の清掃やマット消毒、器具の管理のほか、その日の練習メニューに合わせて必要な物品(バーベル、縄跳び、トレーニングチューブなど)の準備、片付までが彼らによって手際よく行われる。
練習時間はグレコローマンとフリースタイルで割り振りを決めて行われ、それに合わせてメディカルスタッフ(医師、トレーナー)も入れ替わり、練習時間は常にメディカルスタッフが立ち会う体制がとられていた。
日本の場合、ナショナルトレーニングセンターといっても、競技団体の専有領域は練習場のみであり、それ以外の施設、すなわちトレーニングルームや浴室、食堂、宿泊施設などは他競技団体と共有であるが、イランではほぼ完全に専有施設であり、レスリングのためだけに非常に多くの物的、人的支援体制が整備されている。選手にとっては恵まれた環境といえる。
選手は練習にのみ集中すれば良い環境を与えられているが、その一方で、選手が受けた支援相応の結果を求められていることも事実である。
日本チームは2月5日の夜にテヘランを発ち、6日に帰国の予定。