2014.01.28

金メダル4個の女子チームがロシアから帰国

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

ロシア・クラスノヤルスクで行われたゴールデンGP予選大会「ヤリギン国際大会」に出場した女子選抜チームが1月27日、成田空港着のアエロフロート機で帰国した。昨年の優勝なしから優勝4階級にアップし、木名瀬重夫監督(日本協会専任コーチ)は「みんなよく攻めた。優勝できなかった選手も攻める気持ちは持っていた」と評価。58kg級の伊調馨(ALSOK)以外は国内の2、3番手選手でありながらこの成績を残したことに、「日本の実力は上がっている」と分析した。

 もちろん課題は見つかった。これまでも言われているように、外国選手は開始直後のパワーがすごく、力強い組み手で圧倒され、アテンション(注意)を取られたり、失点したりしたという。そこを乗り越えてスタミナ勝負に持ち込み勝利につなげたことは褒められるものの、一歩間違えばそのままいかれてしまうだけに、研究の余地ありといったところだ。

 投げ技のみならず、持ち上げたり一気にニアフォールへ追い込むタックルなど従来の3点技が4点となり、「開始早々の4点は大きなウエートを占める」という感想も持った。新ルールをプラスにできるような序盤の攻撃力も必要のようだ。

 山本英典コーチ(自衛隊)は「現地の人と監督、コーチの協力でどの選手もベストコンディションで臨めた。今回は結果より内容重視で考えていたが、みんな思い切って技をかけ、失敗しても次につながるものを得てくれたと思う」と振り返った。若手中心でもこの成績は、「若手でも世界で通じる力があること。接戦の試合もあって今後に油断はできないが、接戦を勝ち抜く力があることを自信にしてほしい」と望んだ。

 58kg級での国際大会デビューを飾った伊調は「全日本選手権よりはいい動きができた。慣れてきたこともあるし、動きもちょっとずつ分かってきた。参加してよかった」と振り返る。脚をさわられたりしたことはあったそうだが、それほど危ないといったシーンはなかったそうで、「練習でやっていても、試合でなければ分からない部分はある。試合を多くやって慣れたい」と、世界選手権までに数多くの試合をこなしたい様子。

 「今回は初めて闘う選手3人とやれた。いろんな選手となっていきたい」と、実戦の中から58kg級としての強さを確立していく方針を示した。次は3月のワールドカップで世界の強豪と闘う予定。


■48kg級優勝・入江ゆき(九州共立大)「優勝できたことはよかったけれど、内容はまだまだ。練習してきたことを出せなかった。特にこれ、ということではなく、気を抜いてポイントを取られたりしたこともあり、全体的に練習してきたことが出せなかった。もっと練習しないとならない。(3月の)ワールドカップに選んでもらったので、次はワールドカップで頑張りたい」

 ■55kg級優勝・村田夏南子(日大)「思い切ってやろうと思っていました。すべて思った通りではなかったですが、全日本選手権の時よりはレスリングを修正できたと思います。4試合を4ヶ国の選手とできました。国によって体型が違うし、いろんなタイプの選手と闘うことができたのはよかったです。(世界選手権も非オリンピック階級の55kg級?)まだ何も決めていません。今回は自分が軽く感じましたが…。まだ決めていません。3月のワールドカップでは今回の反省を生かして闘いたい」

 ■63kg級優勝・伊藤友莉香(自衛隊)「勝ち負けより、練習してきたことを試合で試す気持ちでした。組み手の練習を積んでいますが、相手に合わせてしまって自分の組み手ができなかった。試合になると緊張もあって、前の悪い組み手が出てしまう。練習量が足りないのだと思います。(初戦で世界3位の選手を破ったことについて)ビデオを見て、投げしかない選手だと思っていて怖い選手ではなかったけど、世界3位を破ったことで自信にはなりました」

 ■69kg級銅メダル・工藤佳代子(自衛隊)「69kg級として初めての大会ですが、63kg級に比べるとパワーがあって、つかまえられると逃げられなくなることは感じました。しかし、試合前にコーチから言われたことを意識してやり、できたと思います。いい経験を積めましたが、パワー不足ですね。肩をけがして上半身の強化が遅れているので、これから鍛えたい。(準決勝で闘った72kg級オリンピック・チャンピオンのボロベワは)日本選手はかけてこないような巻き投げをかけてきて、うまい選手だと思います。相手のフェイントにかかって投げられるという感じ。うまさがありました」