2014.01.07

【年始特集】2014年のホープたち(7)…男子フリースタイル74kg級・武田光司(埼玉・埼玉栄高→専大進学予定)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

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樋口黎(茨城・霞ヶ浦) 文田健一郎(山梨・韮崎工) 木下貴輪(鹿児島・鹿屋中央) 奥井眞生(和歌山・和歌山工)
浅井翼(京都・京都八幡) 白井勝太(JWA/東京・帝京) 武田光司(埼玉・埼玉栄) 園田平(滋賀・日野)

男子フリースタイル74kg級・武田光司(埼玉・埼玉栄高→専大進学予定)

 1年間にある高校生の全国大会は4大会(全国高校選抜大会、インターハイ、全国高校生グレコローマン選手権、国体)。このすべてで優勝するには、フリースタイルとグレコローマンの双方で通じる実力が必要。2012年までに、全国高校生グレコローマン選手権を除いた三冠王に輝いた選手は114人いるのに対し、四冠王者は33人。単純計算で“3.5倍の難関”となる。

 今年度、この4冠を制したのは2人だけ。その一人の武田光司は、チーム事情で自身の階級より1階級上の84kg級での達成。非凡な才能を見せた。

小学校5、6年生の時、全国大会で2連覇を達成した。6年生の時は最重量級から順に武田、奥井眞生、白井勝太と、今年度の高校レスリング界を席巻した3人が優勝に名を連ねている。3選手とも3年後は全国中学王者へ。

 ところが3選手が同じ階級となった高校では、白井と奥井が2年生夏までに全国王者に輝いたのに対し、武田は台頭してきた浅井翼に敗れるなどし、2年間で全国を制することはなかった。大きな試練に遭遇したが、今年度はチーム事情で84kg級に出場し、培ってきた実力を遺憾なく発揮。4冠王者という快挙を達成した。

 インターハイでは1試合の平均タイムが1分53秒。全国高校生グレコローマン選手権と国体は無失点での優勝。三強が激しく争っていた74kg級で闘わせ、競り合いの中でさらなる実力アップしてほしかった素材だが、1階級上で闘い、しかも4大会を制したことのメリットも十分にあるはず。忘れかけていた“勝ち方”を思い出し、自信を取り戻し、今後に大きなプラスとなる1年間だったに違いない。

 大学では再び74kg級での闘いに身を投じる予定。74kg級の体重で闘っていたので、減量の必要はない。84kg級で通じた技を武器に、激戦階級へ挑む。


 ■武田光司(たけだ・こうじ)の話「キャプテンに推され、練習をやらなければならない立場になって頑張ってきたら、この成績が残せたという感じです。大学では、体が大きくなったら84kg級でやることもありますが、74kg級でやることになると思います。今年の74kg級はすごい選手がいて(浅井翼、白井勝太、奥井眞生)、みんな大学へ進みます。同い年の選手に勝てないようでは、年上の選手にも勝てないでしょうから、まず同期の選手には勝ちたい。最初から大きなことを目指さず、一歩一歩やっていきたい」

 ■埼玉栄高・野口篤史監督の話「小学生から見てきた選手です。段階を追って花開いてくれました。3年生で、しかも主将だと、練習では相手の攻撃を受けてしまうようになるものですが、彼は常に攻める練習をしていました。スタミナが切れることなく動き続けられるところが一番の長所。今年、チーム事情で本来より1階級上で闘ったにもかかわらず勝ち続けられたのは、練習量につきます。休みでも自分で練習やる選手です」

 ■専大・馳浩監督の話「まじめに練習に取り組む選手と聞いている。フリースタイルとグレコローマンの両方できるオールラウンドの選手。フリースタイルの中にグレコローマンの要素を取り組むことで実力をアップさせてほしい。大学では74kg級で全日本チャンピオンを目指させるが、団体戦では84kg級で闘ってもらうこともある。東京オリンピックを目指せる選手だ」



 ◎2013年の成績

 【3月:全国高校選抜大会・学校対抗戦】初戦敗退
84kg級1試合に出場し、フォール勝ち1試合=旧ルール

 【3月:全国高校選抜大会・個人戦】優勝(84kg級)
準決勝までは2-0勝ち、決勝は逆転による2-1の勝利。総得失点は45-6(1試合平均タイム4分39秒)=旧ルール

 【4月:JOC杯】ベスト8(ジュニア・グレコローマン84kg級)
大学生1選手に勝ったあと、角雅人(自衛隊)に黒星。

 【8月:インターハイ・個人戦】優勝(84kg級)
5試合をフォール勝ち1試合、テクニカルフォール勝ち4試合で勝ち上がる。総得失点は42-3(1試合平均タイム2分26秒)

 【8月:インターハイ・学校対抗戦】3位
84kg級で4試合に出場。フォール勝ち2試合、テクニカルフォール勝ち2試合。総得失点28-3(1試合平均タイム1分53秒)

 【8月:全国高校生グレコローマン選手権】優勝(84kg級)
7試合をすべて第1ピリオドのフォール勝ち4試合、テクニカルフォール勝ち2試合で圧勝。総得失点は41-0(1試合平均タイム1分20秒)。

 【10月:国民体育大会】優勝(グレコローマン84kg級)
4試合をフォール勝ち1試合、テクニカルフォール勝ち2試合、判定勝ち1試合で勝ち上がる。総得失点は21-0(1試合平均タイム2分35秒)