2014.01.06

【年始特集】2014年のホープたち(6)…男子フリースタイル74kg級・白井勝太(JWA/東京・帝京高→日大進学予定)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

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樋口黎(茨城・霞ヶ浦) 文田健一郎(山梨・韮崎工) 木下貴輪(鹿児島・鹿屋中央) 奥井眞生(和歌山・和歌山工)
浅井翼(京都・京都八幡) 白井勝太(JWA/東京・帝京) 武田光司(埼玉・埼玉栄) 園田平(滋賀・日野)

男子フリースタイル74kg級・白井勝太(JWA/東京・帝京高→日大進学予定)

日本オリンピック委員会(JOC)がオリンピック選手育成のため2008年に立ち上げたエリートアカデミー。恵まれた環境であることは分かっていても、実績のないチームに足を踏み入れることに、ためらう選手や指導者が多かったのも当然だろう。

 果敢に挑んだ男子唯一の選手が、全国少年少女選手権 連覇の白井勝太。中学1年生にして親元を離れてオリンピック選手を目指し、中学時代に全国大会2連覇、2010年アジア・カデット選手権3位と順調に実力をアップ。

 高校へ進み、1年生でインターハイ2位。2ヶ月後の国体では、インターハイ決勝で敗れた相手に雪辱して優勝し、1年生最後の全国高校選抜大会で王者へ。JOC杯カデットでも勝ち、世界カデット選手権3位と、国内のみならず世界へも飛躍した。

 勝負の世界は甘くなく、このあと困難に直面する。奥井眞生と浅井翼の成長により、74kg級の高校タイトルから見放されてしまったが、高校最後の国体はチーム事情で1階級上の84kg級に出場しながら、4試合をテクニカルフォールで勝って優勝(総得失点31-0=1試合平均タイム1分16秒)。続く全日本選手権でも5位に入賞し、3年間の総決算を見せた。

 つまずいて、そこから立ち上がった選手が本物の実力をつけていくのであって、つまずかない選手が強いのではない。エリート街道を突っ走った白井にとって、必要だった高校2~3年生にかけての低迷。ここを乗り越え、本当の勝負が始まる。

 全日本選手権では、史上初の親子対決によって注目を集めた。こんな注目で満足しているわけではあるまい。日本のエースとなって注目を集める逸材であることは、言うまでもない。


 ■白井勝太(しらい・しょうた)の話「全日本選手権で闘い、自分の位置が分かりました。強い人は(押してくる)プレッシャーがすごいです。まだまだですけど、このままやっていってスピードとパワーをつければ、(日本一に)手が届くと信じてやっていきます。来年は、まず4月のJOC杯ジュニア選手権で優勝し、世界ジュニア選手権で優勝することが目標です。高校時代はライバル(浅井翼、奥井眞生)がいて、それで強くなれました。ライバルはいた方が強くなれるけど、新しいライバルが出てきて勢力図が変わるかもしれない。だれが相手でも、勝ってオリンピックへ行きたい」

 ■菅芳松・JOCエリートアカデミー監督の話「今まではJOCアカデミーの選手として、コーチや味の素トレーニングセンターの職員に1から10までお世話になっていた。大学では自分でやっていかなければならない。いかに自分を確立できるかが今後の課題だ。技術的には足首に入る片足タックルをもっと磨いてほしい。それにはパワーがないとならない。まず日本の代表を目指してほしい」

 ■富山英明・日大監督の話「スピード技術的にはすばらしいものを持っている。タックルに入ってからの処理がもう少し上達すれば、飛躍的に伸びると思う。まだ、回り込むタックルになっている。これから一番必要なことは、『オリンピックへ出る』という強い気持ちだろう。同じ階級にライバルがいるので、切磋琢磨していってほしい」



 ◎2013年の成績

 【3月:全国高校選抜大会・個人戦】3位(74kg級)
準決勝で浅井翼に0-2で敗れる。それまでの3試合はいずれも2-0勝ち=旧ルール

 【4月:JOC杯】四回戦敗退(ジュニア・フリースタイル74kg級)
大学生2選手を破るも、4回戦で浅井翼に敗れる

 【8月:インターハイ・個人戦】2位(74kg級)
準決勝で奥井眞生を3-1で下すも、決勝で浅井翼に3-4で敗れる 

 【8月:全国高校生グレコローマン選手権】=不出場

 【10月:国民体育大会】優勝(フリースタイル84kg級)
4試合すべてにテクニカルフォールで圧勝。総得失点は31-0(1試合平均タイム1分16秒)