※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
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浅井翼(京都・京都八幡) | 白井勝太(JWA/東京・帝京) | 武田光司(埼玉・埼玉栄) | 園田平(滋賀・日野) |
男子フリースタイル74kg級 木下貴輪(鹿児島・鹿屋中央高→山梨学院大進学予定)
過去のべ15人のオリンピック選手を輩出した鹿児島県。最近は低迷が続いていたが、久しぶりに世界で通用しそうなホープが現れた。フリースタイル66kg級で高校三冠王(全国高校選抜大会、インターハイ、国体)に輝いた木下貴輪(鹿児島・鹿屋中央)。全試合圧勝する選手ではなかったが、接戦であっても確実にものにする勝負強さを発揮し、鹿児島県からは15年ぶりの高校三冠王に輝いた。
中学時代は目立たない選手だったが、鹿屋中央高で野口勝監督の教えを受けてから急成長。1年生最後の2012年全国高校選抜大会60kg級で2位に入って自信をつけ、1ヶ月後のJOC杯カデット選手権63kg級で優勝。世界カデット選手権では5位に入賞するなど、大器の片りんを見せ、最終学年での快挙につながる。 全日本選手権の舞台で闘う木下貴輪(鹿児島・鹿屋中央高)
恩師の野口監督は、1980年モスクワ・オリンピックの幻の代表だった父・次男さんの指導ものとキッズ~高校レスリングにかけて一時代を築いた選手。けがで選手生活を断念し、指導者としてオリンピック選手の育成を手掛け、初めて育てた全国王者だ。次男さんのオリンピックのマットへの思いが、40年をかけて開花するか。
階級区分の変更により、フリースタイルは65kg級という階級が誕生する。成長期の木下は66kg級から下げることをせず、パワーアップして74kg級で世界を目指すことになりそう。日本のフリースタイル74kg級は、高谷惣亮(ALSOK)をトップに、追う若手選手が育っており、黄金の階級になりそうなムード。激戦の中で木下の成長が注目される。
■木下貴輪(きのした・きりん)の話「3年生で結果を残せたので、いい高校生活でした。基礎体力づくりと反復練習をしっかりやったのが、よかったと思います。全日本選手権で闘ってみて、トップ選手は組み手のような細かい技術がすごく、組んだ瞬間に崩されるという感じです。ただ、石田(智嗣=全日本選手権優勝)さんからポイントを取れたのは収穫でした。山梨学院大でもっと強くなり、石田さんを倒せるようになりたい」
■鹿屋中央高・野口勝監督の話「まじめで、だれよりも練習していた。組み手の技術など自分で積極的に吸収し応用していく選手だった。ほとんど練習していないグレコローマンにフリースタイルの組み手の技術を応用して闘い、全国2位に入ったことはびっくりした。大学でもまじめに取り組み、コーチから技術を学んで飛躍してほしい。私がけがで選手生活を断念しているだけに、けがには十分に気をつけてほしい」
■高田裕司・山梨学院大監督の話「スピードのある選手。この長所を生かしてほしいが、2014年の世界ジュニア選手権を最後に、74kg級でやってもらうつもりなので、パワーアップして体を大きくしてほしい。(新階級の)65kg級では限界が来る。大学生は無理な減量をさせるより、力をつけて思い切りやらせる方が伸びる。最初の1、2年はなかなか勝てないかもしれないが、長い目で育てたい。軽量級の動きができる74kg級の選手になってほしい」
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◎2013年の成績
【3月:全国高校選抜大会・学校対抗戦】=3回戦敗退(1回戦はなし)
74kg級2試合に出場し1勝1敗=旧ルール
【3月:全国高校選抜大会・個人戦】=優勝(66kg級)
5試合をフォール勝ち1試合、2-0勝ち4試合で勝ち上がる。5試合の総得点失点は42-2(1試合平均タイム3分15秒)=旧ルール
【4月:JOC杯】=ベスト8(ジュニア・フリースタイル66kg級)
大学生3選手を破るも、4回戦で金城希龍(国士舘大)に敗れる
【8月:インターハイ】=優勝(66kg級)
5試合をテクニカルフォール勝ち2試合、判定勝ち3試合で勝ち上がる。総得失点は35-15(1試合平均タイム4分56秒)
【8月:インターハイ・学校対抗戦】=3回戦敗退
74kg級で2試合に出場。テクニカルフォール2試合。総得失点は14-0(1試合平均タイム1分4秒)
【8月:全国高校生グレコローマン選手権】=2位(66kg級)
準決勝までの5試合を勝ち上がるも、決勝で澤田夢有人(静岡・飛龍)にテクニカルフォール負け
【10月:国民体育大会】=優勝(フリースタイル66kg級)
4試合をテクニカルフォール勝ち2試合、判定勝ち2試合で勝ち上がる。総得失点は31-9(1試合平均タイム4分28秒)