2013.12.29

【全日本選手権・特集】国体黒星の相手に「倍返しできた」!…男子フリースタイル74kg級・高谷惣亮(ALSOK)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)

半沢直樹ばりの倍返しでリベンジ達成! 全日本選手権の男子フリースタイル74kg級は、今年の世界選手権7位の高谷惣亮(ALSOK)が、決勝で国体&大学王者の山中良一(日体大)を破って3年連続3度目の優勝を決めた。高谷は「決勝の相手は国体で負けた相手。“倍返し”できたと思う」と、今年の流行語大賞を使って喜びを表現した。

 試合は全試合を通じて無失点。「足さえ触らせなかった。今日のレスリングは100点です」と、内容も満足していた様子だった。

 1年を振り返り、「世界選手権で7位になるなど、いいことがあった反面、国体で学生に負けたという悪いこともあった」と激動の1年を振り返ったが、国体の敗北はプラスに捉えているという。「勝って当然だろうという気持ちがどこかにありました。世界選手権直後で、体が戻らないまま減量をした状況でしたが、これは言い訳に過ぎません。出ると決めたのに、(100パーセントの調整をしなかった)自分が悪かった」。

ロンドン・オリンピックに出場し、昨年のこの大会は天皇杯を受賞した。同階級ではまぎれもないエース。だが、学生界の74kg級はいつの間にか群雄割拠の時代に突入し、有望な若手も育ってきている現状がある。「若手の成長は気にしない。自分のレスリングをするだけ」と発言したが、国体の敗北は「おごりを持ってはいけない」と立ち止まるきっかけになった。

 以後、自衛隊に定期的に出稽古を行うなど成長を求めてどん欲に練習に没頭した。自分を変えるきっかけを作ってくれた山中には「感謝している」と高谷。一度負けたことで強みを増したレスリングを展開することができた。

 階級区分の変更があっても、男子フリースタイル74kg級はそのまま残るため、影響は少ないとみられる。84kg級から下げる選手と66kg級から上げる選手は、今大会を最後に体作りから始めなければならないことを考えると、高谷を含む74kg級の選手はアドバンテージがあると言えるだろう。

「来年こそ、世界で1番になることしか考えていない」―。世界選手権に初出場で7位入賞の高谷なら、有言実行の可能性は十分にある!