※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
63回目の歴史を受け継いだ早慶の選手たち
日本のレスリングは1931年4月に早大でスタート。1934年に明大が続いたあと、翌35年に慶大で創部され、同年4月に早慶対抗戦が行われた。
野球の早慶戦が大学スポーツ界の名物だったこともあり、レスリング界でも早慶戦のステータスは関東学生リーグ戦(現東日本学生リーグ戦)のそれよりも上と言われた時期もあった。かつては「リーグ戦で優勝できなくてもいいから、早慶戦で負けるな」とさえ言われたという。
戦争などで実施されない時期もあったが、今年が63回目。早大は先月の全日本大学選手権で初優勝を飾り、慶大は東日本学生リーグ戦で二部リーグに在籍。両大学の実力差は明白だが、それでも両大学OBの尽力によって続けられているのは伝統のパワーだろう。
実力差は明白だが、早大は大坂昂主将や学生王者の北村公平ら4年生を中心としたベストメンバーを起用し、勝負の世界での最高の礼儀をもって慶大を迎え撃った。早大が7戦全勝で勝ち、大学王者の実力を見せたが、慶大の北原義之監督は「こうした緊張感の中で試合を重ねることで、チーム力がアップしていく」と話し、早大の“思いやり”に感謝した。
■早大・山方隆之監督の話「両大学のOBに支えられ、63回目を無事終了できたことに感謝したい。試合は7勝0敗で勝ったが、慶大74kg級の中森一希選手のフォールされまいとする粘りが印象に残った。早慶戦にかける気持ちが伝わってきて、気持ちでは負けていないことが分かった。早大の選手も見習うことだと思う。対抗戦を通じ、勝ち負けを超えて両大学の発展につながってほしい」
■慶大・北原義之監督の話「おととしと去年は7試合で1点もとれなかった。今年もかな、と思ったが、ポイントを取ることができ、意地を見せられたと思う。1年生から3年生は、今日の緊張感を忘れることなく、来年のリーグ戦につなげてほしい。大学ナンバーワンのチームとの試合は得るものがある。一歩ずつ進んでいきたい」
両大学の選手が整列して開会式 | 伝統の一戦らしく、両大学から応援団も参加する |
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大学王者としては初の早慶戦に臨む早大。 | この対抗戦を最後に勇退する慶大・北原監督 |
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首都圏以外のOBも集まった | 早大チアリーディング部も応援に駆け付けた |
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7戦全敗ながらも意地を見せた慶大。左は66kg級・小林岳人、右は74kg級・中森一希 | |
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実力差は明白だが、手加減は相手に失礼とばかりに手をゆるめなかった北村公平(左)、大坂昂主将。 | |
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