※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
来年は創部4年目を迎える鈴鹿国際大・河野隆太監督
1年生だけのメンバーとなったのは、3年生が12月1日に解禁された就職活動に参加するため。2011年に創部し、やっとリーグ戦に出場できるだけの部員数がそろっただけに残念だが、河野隆太監督は「就職難の時代ですから、就職活動に全力を傾けさせました。来年のリーグ戦とJOC杯へ向けて、1年生に経験を積ませる大会、と考えました」と話し、前進のための後退と受け止めた。
今の3年生が戻り、1年生が力をつけた来年のリーグ戦は「今度は2勝できるように頑張りたい」そうで、階段を一段ずつ昇っていく腹積もりだ。
同大学のレスリング部は、青山学院大時代に全日本大学グレコローマン選手権2位の実績を持つ河野監督が、同大学の大学院へ進んだのを機に、主に地元・三重県の選手を集めて創部された。マットはなく、練習は朝明高校で行っているため毎日というわけにはいかない。いろんな面でのハンディはある。
それらを乗り越え、個人戦での出場を重ねながら、今年、やっとリーグ戦に出場できるまでになった。河野監督は「指導される側から指導する側になるのは大変ですね。技をうまく伝えるのが難しい」と話し、指導者としての壁に直面している。しかし、高校時代にレスリングを経験している選手ばかりなので基礎はある。しっかり伸ばしていきたいという。
セコンドからアドバイスを送る河野監督
今月の全日本選手権にエントリーした現役選手でもある。自身が闘うことで、選手に刺激を与える目的があるのは言うまでもない。2021年に予定されている三重国体まで現役でいるのが目標。その頃には一部リーグで闘う鈴鹿国際大が見られるか。
三重県は吉田沙保里選手の出身県であり、出身の一志ジュニア教室のほか、四日市ジュニア教室などの活躍でキッズ・レスリングは盛ん。中学はいなべクラブ、高校はいなべ総合学園高校が全国トップレベルで頑張っているが、大学は不毛の地だった。
やっと芽が出た三重県の大学レスリング。強固なベースがあるだけに、うまく選手を取り込めれば、一気に飛躍する可能性を秘めている。