2013.12.04

下村博文・文部科学大臣を迎え、アジア女子合宿がスタート

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

中国、韓国、モンゴルが参加のアジア女子合宿は12月2日、東京・味の素トレーニングセンターでスタート。下村博文・文部科学大臣が練習開始に合わせて視察に訪れ、激励を受けて練習を開始した。また練習を報道陣に公開した。

 下村文部大臣は、政治の世界では日韓中の関係が微妙な状況であることを説明したあと、「スポーツの世界は違う。4ヶ国の交流によってともに発展してほしい。皆さんの中から2016年、2020年オリンピックのメダリストが生まれると思います。最大のバックアップを約束します」と話した。

 今回の合宿は、外国のチームとできるだけ手合わせするため、トレーニングはほとんど行わず、マットワークが中心。この日も午前、午後ともにマットで技術練習やスパーリングをこなし、技術の交流を行った。

 不在の栄和人・強化委員長(至学館大教)は報道陣に「リオデジャネイロ・オリンピックでは、6階級中5階級で金メダルを取る」とメッセージ。指揮をとった笹山秀雄コーチ(自衛隊)は「若い選手にはいい経験となる合宿」と、積極的に外国選手に挑むことを注文する一方、全日本選手権が近いので「特にトップ選手は、けがをしないことを考えてほしい。ここでけがをしたら何もならない」と、追い込む中にも目標を見すえての練習を望んだ。


■48kg級・登坂絵莉(至学館大)「こうした合宿に参加するのは初めてで、とても新鮮です。51kg級の世界チャンピオンとも闘え、どういう動きをすれば勝てるかなど、いろいろ試してみたいと思います。世界チャンピオンになったことで、『負けられない』という気持ちは出てきました。初めてプレッシャーを感じる大会になると思いますが、ここで勝つか負けるかで、本当の強さが分かってくると思います。周りの人は、前回の全日本選手権は『差があった』と言ってくれますが、たまたまかみ合っただけであり、実力の差はないと思います。圧倒的に勝つことを考えるより、勝つことを考えて闘います」

 ■55kg級・吉田沙保里(ALSOK)「文部科学大臣が私たちのために来てくれたのは、とても光栄なことだと思います。アジアだけの合宿は珍しいことで、見たことのない若手選手も来ていて刺激になります。51kg級の世界チャンピオンともスパーリングしました。最初に挑んできました。手の内を知られても、その上をいくのが面白いので、びびらず、思い切ってやります。けがもなく全日本選手権へ向けていい具合に仕上がっています。全日本選手権は若手選手も必死でくると思うので、集中してやります」

■59kg級・伊調馨(ALSOK)「全日本選手権で59kg級に出るのは、階級区分が変わるので63kg級にこだわる理由はないと思ったからです。減量は(ほとんど)ないので調整の問題はないと思いますが、10年以上、63kg級でやってきたので、やはり未知の世界ですね。相手は軽いと言っても、自分も軽くなっている。今まで自分より重い選手との練習ばかりで、軽い選手との練習あまりやってきていないので、今は軽い選手との練習を多く取り入れています。経験というか、試合をこなすことで慣れてくると思います」

 ■72kg級・浜口京子(ジャパンビバレッジ)「このマットでまた練習させてもらうことに心から感謝しています。ロンドン・オリンピックでの負け方が引っ掛かっていて、やり遂げていないことがあるような気がしました。ました。これ(復帰)を逃したらレスリングが遠ざかってしまうような気がして、思い切って飛び込みました。まだ全日本選手権のことしか考えていません(リオデジャネイロは考えていない)。レスリングが私の心の中のそばにありすぎて、引退を考えることがありませんでした。それほどレスリングが好きで、生きがいになっています。試合から離れている時は、闘っている選手がすごくうらやましいという気持ちでした」

外国チームの監督・コーチを激励する下村大臣

福田富昭会長の案内で練習を見学する下村大臣。右は日本スポーツ振興センターの河野理事長