2013.12.02

【全国中学選抜選手権・特集】JOCアカデミーの環境を生かして飛躍! 男子47kg級・乙黒拓斗

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文=増渕由気子、撮影=保高幸子)

アンクルホールドで2連覇をもぎ取った! 東京都知事杯全国中学選抜選手権47kg級は、昨年王者の乙黒拓斗(JOCアカデミー)が、決勝で荒木大貴(タイガーキッズ)をわずか48秒のテクニカルフォールで下して2連覇を達成。中学最後の大会をきっちり優勝で締めた。

 乙黒は「この1ヶ月くらいでアンクルホールドを3種類ほど覚えて、それがよくかかった。優勝できてよかった」と振り返った。新技がうまく機能したことが優勝の要因だった。

 乙黒は、兄の圭祐(東京・帝京高)の後を追うようにJOCアカデミーに入校。エリート教育を受け、わずか2年で全国中学生選手権優勝。昨年のこの大会も優勝して、中学二冠王者となった。だが、今年6月の全国中学生選手権の4回戦で鈴木絢大(沼津クラブ)に6-0とリードしていたにもかかわらず、7点目をねらってかけたローリングを乗られてフォール負け。2連覇を逃してしまう。

 今大会は中学最後の試合ということで、“王座”奪回に気合を入れて臨んだ。「あの時は、焦って点数を取りに行ってミスしてしまった。実力では勝てると思っていたので、(実力はあると)自分にいいきかせていた」と、自身を信じてマットに上がった。

負けた時に感じたことは、多くの選手がJOCアカデミーの選手に勝つことをひとつの目標に掲げていること。乙黒が負けた瞬間、その日一番の歓声があがった。その経験も、乙黒を一つ成長させた。「試合はアウェーなので、それを気にしないようにしました。自分にも仲間がいるし、兄も第2セコンドで声援を送ってくれたので、ホームのように感じました」。

 メンタルだけでなく、技術もアンクルホールドを3種類も覚え、6月より成長した姿を見せた。技術は、JOCアカデミーの特権でもあるオリンピック・メダリストのナショナルコーチに直接指導を受け、わずか1ヶ月で実戦で使えるレベルにまで仕上げた。

 負けたこともあったが、乙黒は「アカデミーに来て3年、強くなっている気がするので、高校に入っても頑張りたい」ときっぱり。「高校のタイトルを全部取りたいです」と、高校でさらなる飛躍を誓った。