※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=増渕由気子、撮影=保高幸子) 2連覇し、東京都知事杯を獲得した乙黒拓斗(JOCアカデミー)
乙黒は「この1ヶ月くらいでアンクルホールドを3種類ほど覚えて、それがよくかかった。優勝できてよかった」と振り返った。新技がうまく機能したことが優勝の要因だった。
乙黒は、兄の圭祐(東京・帝京高)の後を追うようにJOCアカデミーに入校。エリート教育を受け、わずか2年で全国中学生選手権優勝。昨年のこの大会も優勝して、中学二冠王者となった。だが、今年6月の全国中学生選手権の4回戦で鈴木絢大(沼津クラブ)に6-0とリードしていたにもかかわらず、7点目をねらってかけたローリングを乗られてフォール負け。2連覇を逃してしまう。
今大会は中学最後の試合ということで、“王座”奪回に気合を入れて臨んだ。「あの時は、焦って点数を取りに行ってミスしてしまった。実力では勝てると思っていたので、(実力はあると)自分にいいきかせていた」と、自身を信じてマットに上がった。 春の屈辱を払しょくすべく闘う乙黒
メンタルだけでなく、技術もアンクルホールドを3種類も覚え、6月より成長した姿を見せた。技術は、JOCアカデミーの特権でもあるオリンピック・メダリストのナショナルコーチに直接指導を受け、わずか1ヶ月で実戦で使えるレベルにまで仕上げた。
負けたこともあったが、乙黒は「アカデミーに来て3年、強くなっている気がするので、高校に入っても頑張りたい」ときっぱり。「高校のタイトルを全部取りたいです」と、高校でさらなる飛躍を誓った。