2013.12.02

【西日本学生秋季リーグ戦・特集】絶対王者へ一歩前進! 春秋連覇の中京学院大

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文・撮影=樋口郁夫)

不動の王国の基盤が完成-。西日本学生秋季リーグ戦は、春季優勝の中京学院大が決勝で福岡大を4-3で破り、昨年のこの大会から3季連続の優勝を達成した。馬渕賢司監督は「ホッとしました。きつい闘いで、いつも以上に(緊張のため)トイレに行く回数が多い大会でした」と苦笑いしながら、困難を乗り越えての優勝を振り返った。

 3連覇とはいえ、年度が変われば選手は入れ替わる。春季は、たとえチームとしてはディフェンディング王者としての参戦であっても、多くの選手にとっては“挑む”という意識が強い大会となる。春季の優勝を経て臨む秋季大会は、だれの心にも「王座を守る」という意識を持つ大会となる。王座を守らねばならないというプレッシャーの中で闘い、勝つことこそが、王者に求められること。

 リーグ戦だけではなく、全日本大学グレコローマン選手権で優勝者を輩出するなど、周囲の中京学院大に対する見方は変わっており、どのチームからも標的にされる存在となっている。「勝って当りまえ」という気持ちと選手がどう闘っていくか。これらを乗り越えて優勝を引き寄せたことにより、間違いなく西日本の絶対王者の道を歩み始めたと言っていいだろう。

■初戦で一部デビュー戦の九州共立大に苦戦

 王者としてのプレッシャーは、初戦から表れた。春季の二部リーグで優勝し、一部リーグに昇格したばかりの九州共立大に、勝ったとはいえチームスコア4-3の勝利。3-3から最後の試合を勝っての4-3であり、最後まで気が抜けない試合を演じてしまった。

 馬渕監督は「(九州共立大は)勢いのあるチームですからね」と新興チームの強さを評価する一方、「追われる立場になったことのない選手ばかりですから…」と、試合前から一抹の不安があったという。

そこを辛うじて乗り越えたことで、本来の力を取り戻していくことができた。決勝の試合順は、96kg級の横井健人主将が最後となった(注=同リーグは抽選によって試合順が決まる)。全日本大学グレコローマン選手権を制した頼れる主将が最後に控えていたのは、チームにとって大きな安心材料だった。結果として、3-3で横井にチームの勝利がかかり、見事なテクニカルフォールでチームの勝利を決めた。

 横井は、春先は主将として悩むこともあったようだが、春季リーグ戦でチームを優勝に導き、10月に大学王者に輝いたことで同僚や後輩の見る目も変わり、今や押しも押されもせぬチームの大黒柱。馬渕監督は「彼の頑張りがあったから今年1年間、やってこられました」と、その労をねぎらった。

 だが、厳しい闘いはまだ続く。昨季からチームを支えてきた4年生が卒業することで、来年は大幅な新戦力で臨まねばならないという。「(下級生を)二番手として登録はしていましたが、リーグ戦ではあまり使えなかった」と、来年のレギュラー予定選手の経験不足に一抹の不安があるようだ。

 それを乗り越えるのは、最強チームでやっているという自信とプライドだろう。今月の全日本選手権には過去最高の8選手が出場するそうで、出る選手が頑張り、“西日本の雄、中京学院大”のイメージを強くすることが、来年の飛躍につながる。馬渕監督は「頑張ってもらいます」と、力強く言い切った。