2013.11.26

「金2・銀2・銅2」の女子チームが帰国…ゴールデンGP決勝大会

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 アゼルバイジャン・バクーで行われたゴールデン・グランプリ決勝大会で「金2・銀2・銅2」を取った女子チームが11月25日、成田空港着のトルコ航空で帰国した。

 木名瀬重夫監督(日本協会専任コーチは「全員が全力を尽くし、優勝選手も出たので(48kg級・矢後佑華=日大、51kg級・志土地希果=至学館大)、いい結果と内容だったと思う」と評価。優勝を逃したとはいえ、72kg級の鈴木博恵(クリナップ)は、9月の世界選手権(ハンガリー)で手も足も出ずフォール負けしたオリンピック・チャンピオンのナタリア・ボロベワ(ロシア)相手に、前回の完敗がうそのように6分間闘い(0-4)、63kg級の渡利璃穏(至学館大)も世界選手権2位のモンゴルを破るなど、進歩を見せてくれたという。

 日本選手特有の「崩してフェイントを入れ、相手をかく乱させてからタックルに入る」という作戦がうまくいっていたと分析。ただ、「それが6分間続かない。後半はばててしまい、動かないでタックルに入って、それを切られてしまうことが目についた」と振り返る。どの選手もポイントを取れる攻撃パターンは確立しているだけに、それを後半も続けられるだけの体力と精神力をつけることで、もう一段上へ行けると分析した。

 今回参加した全選手が、「2分3ピリオドのピリオド制」のルール下で力をつけた選手。まだ「3分2ピリオドのトータルポイント制」のルールに慣れていないことも一因とのことだが、それが外国選手も同じこと。外国選手の開始早々の爆発的な瞬発力からの攻撃をしのぎ、「体力と精神力の勝負」へ持ち込んでの勝ちパターンを望んだ。


 ■48kg級優勝・矢後佑華(日大)「ホッとしています。1月のシニア初の国際大会のヤリギン国際大会(ロシア)は負けてしまいましたが(3位)、今回優勝できてよかったです。攻めるレスリングができて、それが勝因です。でも、国内に世界一になった人(登坂絵莉)がいる階級ですので、国内で勝たないと意味がない。天皇杯(全日本選手権)で優勝を目指します。敵は登坂さんだけではありません。一人ひとり勝っていきたい」

 ■51kg級優勝・志土地希果(至学館大)「うれしかったですけど、内容はよくなかったので、目茶苦茶うれしいことはないです。ただ、世界2位のモンゴル選手を破ったことは自信になりました。(国際大会のメダル獲得は2011年世界ジュニア選手権以来)なんで勝てなかったんでしょうね(笑)。この優勝で吹っ切れました。全日本選手権の目標はは優勝しかありません」

 ■55kg級2位・川井梨紗子(至学館大)「組み合わせを見て、反対側の(世界2位の)ソフィア・マットソンと闘ってみたいと思いました。闘ってみて、フェイントが思った以上に効いてくれたし、タックルにも入れて勝てるかな、と思いましたが、もつれた時の詰めの甘さが出てしまいました。課題はタックルに入ったあとの処理です。2位とはいえ、悔しさが残った大会でした。まず国内で勝てるように頑張ります」

 ■59kg級3位・坂上嘉津季(至学館大)「世界チャンピオンのマリアンナ・サスティン(ハンガリー)がモンゴル選手に負けて、ユリア・ラトケビッチ(アゼルバイジャン=世界3位)が決勝でそのモンゴル選手を普通に破りました。(私は)ラトケビッチに6-7の接戦で負けました。本当に悔しい。ただ、自分も世界でやれるんだな、という自信にはなりました。体力をつけて、テクニカルフォールへ持っていけるレスリングをしたい」

 ■63kg級3位・渡利璃穏(至学館大)「(世界2位を破ったのに優勝できず)悔しい気持ちです。(負けた)ラトビアの選手はグレコローマンの選手みたいに差して足技を仕掛けてきました。前へ出る圧力がすごく、それに負けてしまいました。闘い方は分かっていましたが、引いてしまい、足をかけられたら負けてしまうという意識しすぎ、自分の動きができませんでした。ただ、世界2位を破ったので、全日本選手権では世界チャンピオン(伊調馨)を破るのが目標です」

 ■67kg級5位・井上佳子(クリナップ)「(車イスでの帰国に)3位決定戦で押し返した時に、ひざが中に入ってしまって痛めました。これから診断を受けます。どういう状況か分かりません。全日本選手権の出場は診断結果次第です。1、2回戦はタックルがきれいに決まったり、止められても抜けることができてよかったですが、準決勝のアメリカ(エレナ・エレナ・ピロズコバ=2012年63kg級世界一)戦では、入っても小手を決められたりし、ポイントを取られました。世界一に輝いた選手はうまさがあると感じました」

 ■72kg級2位・鈴木博恵(クリナップ)「レベルの高い大会で2位になれたのはよかったですけど、私のブロックはアジアの選手が固まっていて、ヨーロッパの強い選手は反対側でした。それらの選手に勝っての結果ならもっとよかった。オリンピック・チャンピオン(ナタリア・ボロベワ=ロシア)戦は、相手の得意技を防ぐことに頭がいっぱいで攻撃できませんでした。ただ、30秒ルールでの失点が2度あり、実際に技を受けたのは1度だけでした。今度は攻撃もできるようにしたい。今年は国際大会でまずまずの成績を残せました。方向は間違っていないと思います」