2013.11.11

【全日本大学選手権・特集】上の階級の学生王者の意地を見せる…84kg級・赤熊猶弥(拓大)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文=樋口郁夫)

学生二冠王者に輝いた赤熊猶弥(拓大)

 84kg級と74kg級の学生王者が激突した全日本大学選手権84kg級の決勝は、84kg級の赤熊猶弥(拓大)が74kg級の北村公平(早大)をテクニカルフォールで破り、階級が上の王者のメンツを守った。

 「ホッとしています。やっとリベンジできました」と赤熊。本来の階級が違うので個人戦では闘ったことがないが、2011年と今年の東日本学生リーグ戦では84kg級で対戦し、ともに負けていた。「階級が下の選手」と見下ろすことのできない相手だった。「(4年生なので)今年が最後の対戦。絶対に勝とうと思いました」という気持ちで臨み、その思いを実現しての優勝だった。

 作戦は「練習通りやること」。まず構えを気をつけたそうで、しっかり構えることができ、相手につけ入るすきを与えなかったことが勝因だったようだ。全日本学生選手権の決勝を2年連続で闘った亀山晃寛(山梨学院大)が負傷で不出場だったため、敵として考えていたのは北村ただ一人。反対のブロックの組み合わせとなり、決勝に照準を絞って徐々に調子を上げていけた大会だったという。

 福岡・東鷹高校時代はインターハイ3位が最高の選手。そのインターハイで負けた相手が、この日、準決勝で勝った選手で、高校三冠王者に輝いた強豪。成績的には大きな差があった。

 しかし、「大きな差はない」と感じるだけの試合だったという。その気持ちと、拓大に進学して西口茂樹部長や高谷惣亮選手(現ALSOK)からの技術伝承で実力を逆転。学生二冠王者に輝くまでに成長した。「オリンピックを目指す、という気持ちでレスリングに取り組んだのは拓大に入ってからです」とのことで、高い目標を目指す気持ちが実力を伸ばしてくれたようだ。

 負けっぱなしだった相手にリベンジもでき、最終学年を最高の形で終わったと思われるが、「団体で優勝できなかったので悔やまれます…」。入学してから昨年までの3年間、最低ひとつの団体優勝を遂げてきただけに、そのことが無念のようだ。

 その悔いを来月の全日本選手権でぶつけ、拓大の強さをアピールしたいところ。世界選手権代表の松本真也(警視庁)や全日本選抜選手権優勝の松本篤史(ALSOK)と肩を並べる位置にいることは、しっかりと感じている。

 「優勝を目指して練習していきたい。練習でやっていることが試合でできるかどうかがカギ」と、ふだんの実力を出すことを目標に、初の全日本王者を目指す。