※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
準決勝で園田にリベンジし、決勝でも勝った前川
全日本大学グレコローマン選手権の120kg級は、世界選手権代表の前川勝利(早大)が優勝。2連覇を達成するとともに、準決勝では今月の東京国体で苦杯を喫した園田新(拓大)にリベンジすし、二重の喜びとなった。
しかし前川の表情はいま一つ。「団体が優勝できなかった。それを目標に臨んだので、正直、うれしくないし悔しい」ときっぱり。前川が決勝のマットに上がるまでは、「勝っているかも」という情報もあり(96kg級で日体大が7位に入っていたので、実際には日体大の優勝は決まっていたが、7、8位の発表は全試合終了後だった)、勇んで決勝戦の闘いに臨んだだけに、団体優勝を逃したショックは大きかったようだ。
だが、個人としては園田に借りを返すことができ、意義深い優勝となった。国体では、「言い訳になってしまうので、言うべきではないと思いますが」と前置きしたうえで、世界選手権(ブダペスト)から期間が短かったので、体重調整など体調管理の失敗があったという。
その国体からも今大会は中10日で、世界選手権~国体の間隔よりも短い。同じ失敗は繰り返さない、とばかり「コンディショニングをしっかりして臨んだ。この前は動きが悪かったけど、今回はしっかり動けた」と話し、失敗を糧(かて)に勝利を引き寄せた形だ。
決勝の相手は、7月の西日本学生新人戦の両スタイルを制した津田大健(中京学院大)が相手。全日本学生選手権では初戦敗退の選手だが、前川は東京国体で園田をそり投げで投げたシーンを覚えており、この大会の準決勝でもオレッグ・ボルチン(山梨学院大)をそり投げで投げてテクニカルフォール勝ちしていた。目の前でその試合を見せられ、「すごい選手が出てきたな」と感じた選手だという。
試合は先制されるなど、ちょっとヒヤリとしたが、地力を発揮して9-2のテクニカルフォール勝ち。国体のV逸を払しょくする優勝となった。「負けても、どこで切り替えられるかが大切なこと。そこを乗り越えられたのは大きい」と話し、個人では価値ある優勝だったことは間違いない。
最後に「全日本大学選手権では、絶対に個人と団体で優勝したい」と語気を強めた。