※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=樋口郁夫) 国体マスコット「ゆりーと」君から祝福された(左から)浅井、樋口、園田
■昨年のインターハイから負け知らず…樋口黎
55kg級の樋口は、初戦こそ1ポイントを取られたものの、4試合にかかったタイムは3分27秒(1試合平均52秒)で、総ポイントは32-1。決勝はタックルからアンクルホールド3回転で、わずか22秒でけりをつけた。
優勝を決めたあとは、今季4個目のタイトル獲得にちなんで指4本を挙げるパフォーマンスを予定通り実行。「勝って当然というプレッシャーがあったので、勝ててホッとしました。決勝はイメージ通りの試合ができました。アンクルホールドは得意。その流れができたのはよかったです」と、快勝続きの優勝に舌も滑らか。 優勝し、4本指を立てた樋口
8月の全国高校生グレコローマン選手権は、世界カデット選手権(セルビア)への遠征のため不出場だった。「グレコローマンは得意じゃないんですが…。出ていたら面白かったかもしれませんね」と、高校五冠王がならなかったことはちょっぴり残念そう。しかし、「12月の全日本選手権ではメダルを取りにいきます。3年後に間に合うように日本一を狙います」と、気合を入れた。
■来年は高谷惣亮のもとで強化に励む…浅井翼 憧れの高谷(後ろ)の闘う隣のマットで闘い、優勝を決めた浅井
しかし、「脚を触らせたりた試合もあったし、タックルを取れないこともあって、100点とは言えない。力不足です」と欲の深いところを見せた。3年間を振り返り、「最後にインターハイ、国体と連覇し、国体2連覇で締めくくれてよかった」と言う。
卒業後は拓大に進むことが決まっており、ロンドン・オリンピック代表の高谷惣亮(ALSOK=拓大卒)の胸を借りて鍛え、いずれは恩を返す(追い越すこと)つもり。この日、隣のマットで行われていた成年の部で高谷が敗れる波乱があったが、「捨て身の技にやられただけであって、高谷さんが一番強いと思う。壁は高いけど、超えなければならない」と、高い目標に挑むことを口にした。
兄の後をきちんと追っている園田
96kg級の園田は、初戦の13秒フォール勝ちを含めて4試合で220秒(1試合平均55秒)。「(国体は)おとしは1回戦、去年は2回戦で負けていた。今回は気合が入っていて、勝った時はめちゃくちゃうれしかった」と第一声。8月までに3大会を制していた選手として、「(勝つのが)当然といえば当然だけど、国体に勝てたことがうれしい」と、過去2年間を“清算”できた優勝は格別の様子。「高校最後の大会、いい形で締めくくれた」と振り返った。
この優勝で、高校生の全国大会はすべて兄・新(日野高~現拓大1年生)の後を追っての兄弟優勝を達成した。「(兄弟優勝の)プレッシャーはなかったけど、並ぶというのが最低限の目標だった。うれしい」と言う一方、兄が今年8月に全日本学生選手権で1年生王者に輝いたことで、また目標ができたことになる。
「来年は1年生学生王者になる」ときっぱり。来夏は史上初の兄弟1年生学生王者が誕生するか。