※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
【ブダペスト(ハンガリー)、文=池田安佑美、撮影=保高幸子】得点版の誤表示に泣かされる-。2010年世界5位で3度目の世界選手権代表となった男子グレコローマン74kg級の金久保武大(ALSOK)。昨年のロンドン・オリンピックに出場できなかった悔しさを今大会で晴らすつもりだったが、運営のミスに泣かされた。
初戦(2回戦)でロンドン3位のアレクサンドル・カザケビッチ(リトアニア)を5-4で破って幸先のいいスタートを切ったが、3回戦の2009年世界2位のマーク・マドセン(デンマーク)戦で、試合終了時にチェアマンが赤(金久保)の板を上げたにもかかわらず、得点が修正されて1-1(コーション2-1)となり、チェアマンが青の札を上げ直すという事態が起こった。 初戦でオリンピック3位を破った金久保だが、後が続かず
金久保は「場外際の技は僕のバックポイントの2点が入り、チャレンジ失敗で3-1だという認識がありました。得点版にもそう掲示してあるのを確認して、勝っている認識で試合を進めました」。残り6秒、負けていると思った相手が猛ラッシュ。それを金久保はいなして、試合終了を迎えた。
もし、得点が1-1(コーション2-1)と正しく表示されていたら「もちろん、攻めに行きました」と金久保。得点により闘い方を変えるのは当たり前。「試合が終わってから、実は自分が負けていましたと言われても、どうしようもない」と悔しさをにじませた。
試合直後は納得いかない気持ちだったが、少し時間を置いて冷静になると「試合自体は終始、受けていた。負け試合でしたね」と反省の弁。そもそも、自他ともに旧ルール型の選手と認めており、スタンドで脇を閉めてしまう癖を修正しきれなかった点も反省点に挙げられる。「負けてすみません、次頑張ります、と毎回言っている。若手と言われる年齢でもない。投げの練習や基本的な差しから日本でやり直したい」とスタイル修正を誓った。