※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
【ブダペスト(ハンガリー)、文=樋口郁夫、撮影=保高幸子】幻の警告勝ち-。初出場の男子グレコローマン66kg級の清水博之(自衛隊)は、初戦のリトアニア戦の試合終了間際、相手に3度目のコーションを与え、ジャッジ、チェアマンとも清水の勝ちと判定する状況から、ジュリーが介入してコーションを取り消され、不可解な初戦敗退となった。
第1ピリオドにパーテールポジションの防御からリフトを受けてしまい、その後も0-4、1-7、2-7と常に追いかける展開。それでも相手に2度のコーションを与え、あと一度のコーションで警告勝ちとなる状況に追い詰めた。 第2ピリオド、ローリングを仕掛ける清水だが、スロースターターすぎた
清水は「点差が開きすぎているので、警告失格をとりづらかったのだと思う」と、この判定を受け入れ、「自分の悪いくせ、最初に見合ってしまうというのが出て、第1ピリオドから攻められなかったことが敗因です。第2ピリオドは攻めることができましたが、それを第1ピリオドから出せれば、結果は変わっていたかな、と思います」と振り返った。
試合開始直後に腰投げにかかりそうになってしまい、「びびってしまって行けなかった」のだという。せっかく日本の代表として出させてもらったのに、情けない」と話し、「情けない」という言葉を何度も口にした。
2010年のサンキスト・オープン(米国)で優勝したり、今年4月のアジア選手権(インド)で銅メダルを獲得するなど、国際大会ででも成績を出してきた選手。初めての世界選手権であっても、「特別に緊張はしなかった。いつもと同じ」とのこと。
力を出し切れなかったのは、見合ってしまってスタートから積極的な攻撃ができなかったことに尽きるようで、「第1ピリオドからどんど攻めていくレスリングをしていきたい」と結んだ。