2013.09.22

【世界選手権・特集】男子グレコローマン60kg級・倉本一真(自衛隊)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 【ブダペスト(ハンガリー)、文=池田安佑美、撮影=保高幸子】ロンドン・オリンピック銀メダリストを撃破するものの、メダルに絡めず-。男子グレコローマン60kg級に初出場した倉本一真(自衛隊)は、初戦でオリンピック2位のレバズ・ラシヒ(グルジア)がグラウンドの防御の際に倉本の足を触る行為を繰り返したため、3コーションの警告勝ちで撃破する殊勲、

 2回戦のイラン戦、3回戦のキューバ戦ともにスタンドからの攻撃がさえてテクニカルフォール勝ちで勝って4回戦に進出。表彰台が見えてきた、しかし、7月のユニバーシアード(ロシア)優勝のイバン・クイラコフ(ロシア)にローリングの連続攻撃を受けてしまって、あっという間にテクニカルフォール負けを喫してしまった。

 敗者復活戦に回ったものの、今年のアジア王者のエルムラト・タスムラドフ(ウズベキスタン)にそり投げやローリングなどで失点し、最後は巻き投げで首投げで8点差。3位決定戦に回れず、7位で初の世界選手権を終えた。

 実は満身創痍の状態だった。7月下旬からの韓国遠征は直前に負ったけがで満足に追い込めず、8月下旬の菅平合宿でも左ひざを痛めて、3日間の入院を余儀なくされた。なんとか仕上げて本番に臨んだが、試合中に右ひざも痛め、決勝では首も痛めた。

 「ケガは(試合結果に)関係ないです。逆に集中できたくらい」と言い切ったが、万全でなかったのは確かだ。その中で、スタンドで積極的に動き回って、オリンピック3位、強豪チームのイラン、パンアメリカンのグレコローマン席巻するキューバを破って勝ち進んだのは、健闘したと言えよう。

 世界選手権も大会第5日で、日本男子はメダルを獲得できていない。倉本は「自分が(取る)という気持ちはめちゃくちゃありました。日本は女子が勝つ、その次にフリースタイルが勝つという風潮があるので、グレコローマンで勝つところを見せたかった」と悔しさをにじませた。

 勝った試合も負けた試合もフォールかテクニカルフォールで決着。あっという間に勝つ試合もあれば、その逆もあった。浮き沈みが激しい理由は「自分のペースでできているかどうかです」と倉本。負けた試合はペースをつかめずに、一方的にやられてしまった。「自分のペースで試合を進められれば、世界でも戦えると思う」と自信をつかんだ大会となった。