※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
【ブダペスト(ハンガリー)、文=樋口郁夫、撮影=保高幸子】昨年に続く世界選手権出場となった女子72kg級の鈴木博恵(クリナップ)は、2回戦でロンドン・オリンピック・チャンピオンのナタリア・ボロベワ(ロシア)にフォール負け。敗者復活戦でも、一度もリードを奪えないまま敗れ、上位進出を逃した。
ヤマ場はオリンピック・チャンピオンとの対戦だった。過去3度闘い、まだ一度も勝っていない相手。今年1月の対戦でもフォール負けしていた。今回も右足を取られて飛行機投げで崩されてニアフォールの体勢へ。いつの間にか腕をがっちり取られて動けなくなり。53秒でフォール負けを喫した。 オリンピック・チャンピオンに右腕をがっちり極められ、逃げられなかった鈴木
気を取り直して臨んだブルマー・オチルバト(モンゴル)との敗者復活戦は、「腕を取られて動きが止まってしまった。取ってくること分かっていて脚をとめないようにしていたけど、力が強くて…」と振り返った。追いかける展開になり、気持ちの焦りが遠くからタックルへ。「それでは取れないと思う。「もっと近くから、怖がらずにタックル入れる練習しないとならないと思いました」と反省した。
優勝した今年4月のアジア選手権(インド)の決勝の相手は、今回とは違うがモンゴル選手だった。それだけに「同じモンゴルに敗れたのは悔しいです」と言う。
初戦のイスラエル戦でフォール勝ちし、世界選手権での初勝利は挙げた。しかし、「強い相手じゃなかったですから…。成長できているかどうか、今のところ分かりません」と喜びはなし。「パワーや身体能力の差は歴然なので、それを補うだけの練習をしたいと思う」と気を取り直していた。
ただ、このフォール勝ちの「勝ち点5点」がきいて、日本は国別対抗得点でモンゴルを1点差で押さえて優勝することができた。テクニカルフォールや判定では2位だった。値千金のフォール勝ちだったことは間違いない。