2013.09.19

【世界選手権・特集】女子51kg級・宮原優(東洋大)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 【ブダペスト(ハンガリー)、文=樋口郁夫、撮影=保高幸子】ユース・オリンピックや世界ジュニア選手権などを制した実績を持って世界選手権に初挑戦した女子51kg級の宮原優(東洋大)は、2回戦で昨年の世界チャンピオン、ジェシカ・マクドナルド(カナダ)に敗れ、敗者復活戦に回ることなく試合を終えた。

 宮原は「悔しいです」と第一声。片足タックルに入るまでのタイミングはよかったものの、入ってから返されるのを怖がって止まってしまったそうで、他にマクドナルドとのパワーの差も痛感。「力で圧倒されていると感じた時点で実力の差があるということで、パワーをつけていかなければなりません」と、体力づくりの課題も口にした。

 「壁は厚いと思ったけど、片足タックルの処理がしっかりできていれば、もっと上に行けたという気持ちもある。課題がたくさん見つかり、帰国してしっかり練習したい。この負けは次につながる負けだったと思う」と気を取り直した。

 マクドナルドとは3月のワールドカップ(モンゴル)以来、半年ぶりの再戦。「ワールドカップの時は片足タックルに入れなかったけど、今回は1度だけ決まったので少し差は縮まったと思う」と言う反面、前回は手が届きそうだった世界女王にやられ、「世界選手権で100パーセント以上の実力を出してくる強さすごい。自分には、パワーもそうですが、メンタル面で練習時以上の120%の力を出す力が足りなかったと思います」と振り返った。

 JOCエリートアカデミー初の世界選手権代表ということのでプレッシャーは全くなかったという。勝てなかった原因は、「実力不足、パワー不足」と振り返り、カデットやジュニアとは違う世界の壁をしっかりと感じたようだ。

 階級区分の変更が取りざたされており、伝わっている通りの階級となれば、現在から1kg多い52kg級を選ぶ可能性が強いという。そのためにも筋力アップは最重要課題だが、その階級区分になれば吉田沙保里選手も52kg級へ落とすことを口にしている。

 しかし、宮原はきっぱり言った。「オリンピックで勝つには、沙保里さんみたいな選手に勝たなければなりません。嫌だな、ではなく、沙保里さんを倒しに行くという目標をもって階段を上がっていきたい」。ほろ苦く終わった初の世界選手権は、新たな挑戦のスタートでもある。