※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
【ブダペスト(ハンガリー)、文=樋口郁夫、撮影=保高幸子】男子フリースタイル96kg級の山口剛(ブシロード)が、4回戦まで勝ち進み、そこで対戦したロシア選手相手にも第1ピリオドは互角近い善戦。8位となって日本重量級の明るい未来を予感させる試合内容を演じた。
山口は「自分のやってきた技が出せた。ロシアとの試合は失点も多かったけれど、自分のやってきたハイクラッチのタックルもできたし、思った以上に組み手ができて得意技が出せた試合でした」と、まずは合格点の第一声。
ロシア選手に真っ向から挑んだ山口
初戦(2回戦)ではぶら下がりの巻き投げ、3回戦では首投げを決め、投げ技もさえた大会だった。「国内、国外で磨いてきた技。出すことができてよかった。投げがダメならタックルに切り替えればいいと思い、思い切っていった」とのことで、「練習でやってきた方向性は間違いない」と自信をつけたもようだ。
もちろん、この成績で満足しているわけではない。ロシア選手は、第2ピリオドはばてていたのがはっきり分かったが、「最後の最後、取り切れるのが一流の選手。自分もばてていたけど、そこからの練習をやってきたにもかかわらず、最終的には負けてしまったので…(よくない)。いかにその力を身につけられるかが今後の課題」と反省点も少なくない。
84kg級代表の松本真也(警視庁)がオリンピック予選だった2011年世界選手権で4回戦まで進出したことを引き合いに出し、「ベスト8のところに大きな壁がある。そこを乗り越えるには、もうワンランクアップしなければならない」と、厳しい現実を見つめる。
そこを克服するには、国内だけではなく国外での練習も必要と痛感。「まだ強い選手はたくさんいる。今回のロシアのような変則的な選手もいるし、もっともっと海外へ行って経験を積んでみたい」と話し、今後の飛躍を誓っていた。