※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=渋谷淳) アルゼンチンから帰国した(左から)福田会長、小原さん、増島篤理事
福田会長はゲートを出ると、出迎えた協会関係者とがっちり握手。「今回は東京オリンピックの開催が第一の夢で、第二がレスリング(の存続)だった。せっかく東京でオリンピックが開催されるのに、レスリングがないというのでは困る」と、まずは安堵の表情を見せながら、「喜ぶだけではダメ。東京という目標にしっかり照準を合わせて責任を果たしていかなければならない」と続けた。
レスリング界にとって「責任」とは結果を残すことにほかならない。福田会長は「1964年の東京オリンピックで日本は16個の金メダルを獲得した。そのうち体操とレスリングで金メダル10個(レスリングは5個)。2度目となる東京大会でもレスリングがしっかり活躍し、金メダルで恩返ししなければならない」と表情を引き締めた。
7年後に向けた強化策については「中学生、高校生、大学生を対象にした東京要員というものをもう一度見直したい」と語り、現在の強化体制をあらためて精査する考えを明らかにした。
IOCが新たな6階級の体重区分案を公表したことについては、「女子はどの階級にだれを当てはめていくかが今後の課題になると思う」と話し、吉田沙保里、伊調馨(ともにALSOK)の両金メダリストについては「彼女たちは十分に対応できる。世界チャンピオンですから自信を持って闘うでしょう」と続けて、問題なしという見方を示した。
福田会長と同じ便で帰国した小原は「みんなの気持ちを代表してアルゼンチンへ持って行き、(追加競技に)残ると信じていたけど、最後にしっかり残ってくれてほっとしました」と胸の内を明かした。7年後の東京オリンピックについては「女子は階級が増えると思うし、男子も若手が育ってきていると思う。全階級で金メダルを目指し、みんなに応援してもらえるような、みんなに希望を与えられるようなレスリングであってほしい」と後輩たちの活躍を願った。