※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=池田安佑美、撮影=矢吹建夫) 親子での2連覇を喜ぶ森下と父・敏清さん
決勝の相手の高橋は高校時代からのライバル。対戦成績は森下の方が上回っているが、今年5月の東日本学生リーグ戦、6月の全日本選抜選手権と連敗していた。「リーグ戦、全日本選抜と連敗していたので、(自分が)チャレンジャーだという気持ちで当たりにいった」と振り返った。
■ラスト30秒で致命的と思われた場外逃避のコーション
立ち上がりは静かな展開だった。互いに攻め手を欠いて2分が経過。森下が消極的だったと判断され、高橋に1点が入った。この点数に関しては「1ポイントだったので焦らず自分のペースであれば取り返せる」とあまりビハインドを感じなかった。
第2ピリオドの中盤にタックルを決めて2-1と反撃するものの、残30秒でがぶられてから場外に追い出された。森下が場外へ逃避したと判断されて1ポイント・コーションがつき、2-2へ。このままのスコアなら、コーションを取られている森下の負けとなる。 終了間際、劣勢をはね返すべくタックルへいった森下
■中学時代も“親子で2連覇達成”
森下の優勝を見守った、父の敏清さんは「1ポイント・コーションをもらった時は、終わったと思いました。よくあそこから高橋選手を持ち上げましたね」と賛辞。敏清さん自身も全日本学生選手権を3、4年生の時に連覇した選手。親子そろって学生2連覇を成し遂げたことを「ホッとしました」と振り返った。
森下親子は全国中学選手権大会でも史上初の“親子で2連覇”を達成していることで有名だ。敏清さんは、学生時代に全日本学生選手権を2度、大学選手権を1度優勝した強豪だった。森下が敏清さんの大学記録に並ぶには、11月の大学選手権での優勝が必須だ。
森下は「中学時代から、ずっと親子で連覇と言われていました。昨年、全日本王者となり、父親を超えたかなと思いましたが、まだ並んでいるくらいだと思う。11月の内閣(全日本大学選手権)と全日本選手権で優勝して、父親を超えたいです」と目標をきっぱり掲げた。