2013.08.24

【全国高校生グレコローマン選手権・特集】1試合分のエネルギーで6試合を闘いV2…74kg級・奥井眞生(和歌山・和歌山工)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文・撮影=樋口郁夫)

 全国高校生グレコローマン選手権の74kg級は、昨年優勝の奥井眞生(和歌山・和歌山工)が6試合に圧勝し、2年連続優勝を達成した。

 フォール勝ち3試合とテクニカルフォール勝ち3試合の計6試合に費やした総タイムは5分26秒と、“1試合分”に満たず。ポイント合計は31-0。この数字を示せば、どのくらい群を抜いていたかの説明の必要はあるまい。決勝はコーションで1点を取ったあと、ローリング3回転で一気に勝負を決めた。

 奥井は「2連覇できたことは素直にうれしい」と第一声を発しつつ、「決勝は課題の残る内容でした」と意外なコメント。得意なローリングだが、相手に切られてしまい、強引にいってしまったことに不満が残ったという。クラッチをもっと完ぺきに極め、力づくでない理詰めのローリングでなければならなかったのだろう。

 今月初めのインターハイは準決勝で白井勝太(東京・帝京)に1-3で敗れ、2連覇を逃した。「自分の動きができず、攻め切れなかった。(昨年王者や全国高校選抜王者としての)プレッシャーが特にあったわけではないのですが…」と敗因を振り返るが、心に中に「心のすきというか、油断めいたものがあったかもしれない」とも反省する。「あの負けにより、今度は常に攻めるレスリングをやろうと決めた。それができた」という今大会だった。

 インターハイ(長崎)で優勝を逃したあと、「多く人から『全グレも国体もあるし、大学へ行ってからも(闘いは)続く。気持ちを切り替えろ』と声をかけてもらい、負けを引きずることはなかったという。しかし、「悔しさを払しょくできた?」との問いには「う~ん…。やっぱり、悔しさは残っていますね」と苦笑い。

 この階級は奥井、白井、浅井翼(京都・京都八幡=インターハイ優勝)の3選手が激しく競っていて、現在の高校レスリング界最大の激戦階級。その中で奥井がわずかにリードした感があった最近の成績だが、今年のインターハイの結果でまたも混戦模様へ戻った。

 奥井は10月の国体(東京)は優勝した昨年と同じグレコローマンに出場し、3連覇を目指すこと決めているので、“三強”の争いはなく、ちょっぴり残念だが、「実はフリースタイルの方が好きで、大学ではフリースタイルを中心にやろうと思っています」とのこと。三つ巴の闘いは休戦となるが(白井と浅井の闘いは展開されると思われるが)、来年以降、どんな壮絶な闘いを見せてくれるか。

 国体で圧勝優勝を飾り、高校生活の最後をしっかりと締めくくりたい。