2013.08.22

【全日本学生選手権・特集】ルール改正を追い風に、最後の学年で優勝…男子グレコローマン84kg級・菊池峻(青山学院大)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫)

 全日本大学選手権の男子グレコローマンは、日体大、拓大、早大という最近の“常連”が優勝をさらう中、84kg級で青山学院大の菊池崚が気をはいた。ロンドン・オリンピック代表・長谷川恒平(福一漁業)の母校からは、2008年の尾曲伸乃祐(グレコローマン84kg級)以来の優勝。

 菊池は準々決勝で星翔也(日体大)に苦戦を強いられたものの、それ以外はすべて3分以内でフィニッシュ。会心の試合内容もあって「今日は足がよく動いて調子が良かった。最後の年に学生タイトルが取れてうれしい」と満面の笑みを浮かべた。

 茨城・霞ヶ浦高から青山学院大に進み、2年生でJOC杯ジュニアオリンピックで優勝。その後も全日本選手権で3位に2度入るなど地力はあったが、最終学年になるまで学生タイトルには無縁だった。消化不良の試合も多く実力を出し切れていない印象があった。

 躍進の理由のひとつは、5月のルール改正だという。「もともとスタンドで攻めるのが得意なので、ルールが変わって思い切って攻められるようになった。以前は警戒されてスタンドで逃げられ、グラウンドに持ち込まれることが多かった」と分析する。

 「スタミナがもっとつけば、このルールで十分にやっていけそう」と、今回の優勝ですっかり自信をつけた様子。勢いの出た青学大グレコローマンのエースは、「これから出場するすべての大会でいい成績を収めたい」と、有終の美に向かって全力を挙げるつもりだ。