※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
世界最大の通信社「AP通信」は、2016年リオデジャネイロ・オリンピックで女子の階級が2階級増えることにからみ、「古代オリンピックでは、レスリングは神聖なスポーツとして、女性が観戦したなら殺された。男性が支配してきたこのスポーツは、今、オリンピック競技に残るため、女性にシングレットを渡した。レスリングの将来は女性の手の中にある」との書き出しで記事を配信。
国際レスリング連盟(FILA)が、国際オリンピック委員会(IOC)の掲げる理念の男女平等を実践し、オリンピック競技に残るために思い切った改革を実行したことを報じた。ニューヨークタイムスやワシントンポストなどの主要メディアが掲載した。
階級問題のほか、女子委員会の新設や、理事に最低3人の女性を入れて女性の副会長を誕生させることを決めるなど、FILAの積極的な改革を報じ、“女人禁制”だったギリシャ・オリンピアのレスリング場に歴史上初めて女性を立たせてエキシビションマッチを実施するなど、男女平等を強調する姿勢を伝えている。
世界の女子の競技人口は不明としながら、米国では高校レベルで1994年に800人だった女子選手が、現在は7000人にまで増えていることを紹介。ネナド・ラロビッチ会長(セルビア)の「南米やアフリカでも急激に増加している」とのコメントを紹介している。
同会長は「私達にとっては、変わったという姿勢を示し、オリンピックに残るという意思を示すことがとても重要です」と電話インタビューに答え、女子レスリングの急成長を掲載したパンフレットを、IOCの全委員に送ったという。
記事には、女子が実施された過去3度のオリンピックで、計12個の金メダルのうち日本が7個を獲得していることを掲載。女子が普及することで、多くの国が(日本に)チャレンジし、健全な発展につながると掲載されている(注=メダルが特定の国にかたよるのは、世界的な普及がなされていないと解釈され、オリンピック競技としての適性面ではマイナスとされる)。
記事の最後には、「男子選手は(階級減によって)2つの金メダルをあきらめることを余儀なくされたが、レスリングのインサイダー(内部の人間)は、IOCに(男女平等を)印象づけることが、今は一番大事なことを知っている。レスリングが将来もオリンピック競技であり続けるには、これまで以上に女性が含まれていなければならない」と掲載。
ラロビッチ会長の「男子選手もよく理解している。私のもとに抗議は来ていない。男子選手は(階級減に)適応しなければならないことを理解している」とのコメントで締めくくっている。