※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
遠征の最後にアドバイスを送る田南部力監督(背中)
出発前は韓国体育大学を中心とした練習になることもありうるという情報だったが、韓国側が日本のリクエストにこたえてくれ、ナショナルチームの練習するテヌン村で午前と午後の2度の合同練習へ。中国の代表選手も5人が参加していた想定外のこともあり、練習試合も実施して実りある遠征となった。
田南部力監督(警視庁)は「軽量級は日本の方がレベルは高いと感じたが、やはり外国選手との練習には緊張感が出る。韓国独特の前へ出る圧力などを感じたし、少しくらいのけがをしていてもマットに上がる精神力や、相手を壊すくらいの気持ちで向かってくる気迫は参考になった」と振り返る。
練習であっても頭をぶつけてきたり、指を折り曲げたりといった日本の練習では考えられないような“ラフファイト”も体験。その必死さの前に鼻を骨折した選手もいた。「こういうレスリングを経験しておくことも必要。(世界選手権まで時間のある)この時期だからこそ、こうした練習も必要だった」と言う。
約1週間の合宿を終えて帰国した選手たち
60kg級の前田翔吾(クリナップ)は「1週間でしたが、自分の課題を練習だけでなく練習試合ででも試すことができ、いい合宿になりました。同じアジアですが、外国の選手相手に試すことができたのは大きいです」と振り返る。
フリーススタイルとグレコローマンとは全く別々の練習で、ウォーミングアップからして違うそうだが、ちらりと垣間見たグレコローマンの練習のすごさには驚くことがあったそうだ。「韓国のグレコローマンが強い理由が分かりました」と感じるものがあり、こうした収穫もあった遠征だった。
代表選手はこのあと、各所属や自衛隊などで練習し、今月末の菅平合宿(長野)で最後の追い込みに入る。グレコローマンは10日に帰国予定(120kg級の前川勝利のみ、この日に帰国)。