2013.07.30

男子両スタイルの全日本チームが韓国遠征へ出発

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

男子両スタイルの世界選手権代表チームが7月29日、韓国チームとの合同練習のため、羽田空港発の全日空で韓国・ソウルへ向けて出発した。(右写真)

 過去、世界選手権を1ヶ月半後に控えた時期では数選手が欧州へ遠征し合宿や試合に出場して最後の実戦練習に励んだことはあるが、重量級を含めて代表全選手が参加した海外遠征は例がない。男子グレコローマンの西口茂樹強化委員長(拓大教)は「韓国のトレーニングに接することで体力強化をしっかりやり、近くの強豪国から学ぶべきことをすべて学ぶため」と、その目的を話した。

 練習の主となる場所は、韓国側の都合によりナショナルチームの常設練習場のテヌン村ではなく韓国体育大学になりそうな連絡が入った。西口委員長は、より厳しい練習を求め、世界選手権代表級の選手との練習を多くしてくれるようリクエストしており、現地へ行ってからも交渉するという。せっかくの遠征を価値あるものにしたいという姿勢が十分。

 韓国は1988年ソウル・オリンピックで世界トップレベルの実力をつけ、その後もグレコローマンは世界の強国の一角を占めている。昨年のロンドン・オリンピックでも優勝選手を輩出。全体の実力では日本より上とも思えるが、西口委員長は「差があるわけではない」ときっぱり。

今月のユニバーシアード(ロシア)に監督として同行したが、「学生レベルなら日本の方が上。ナショナルチームのレベルではどうなのかを見てきたい」と言う。ただ、謙虚な姿勢を忘れるつもりはなく、「学んで来たい。日本代表チームになると、他の練習を受け入れない面も出てくるけど、すべてを受け入れるという姿勢を持ってほしい」と言う。

 フリースタイルは、現在は各種の国際大会で日本の方がいい成績を残すことが多いが、今年4月のアジア選手権(インド)では、日本が銅メダル2個だったのに対し、韓国は金1・銀1を取っており、あなどれない実力を持っている。

 田南部力監督(警視庁)は「韓国の選手はパワーがあって気持ちが強い。そのあたりの強さを見習ってほしい」と期待する。まだ先の話だが、オリンピックのアジア予選では韓国がひとつの壁となるのは間違いないと見ており、「そうした状況になった時に一歩抜け出せるよう、韓国のレスリングを研究したい」と話した。

 全日本チームの遠征には初参加のフリースタイル66kg級の井上貴尋(東京・自由ヶ丘学園高教)は「学生の遠征とは雰囲気が違うけど、(他階級の選手に)負けられない、という気持ちも強くなっている。韓国とはそんなに差はないと思う」と気合十分。

 “日本のフリースタイル66kg級の代表選手”となれば、外国の見る目も違ってくると思われる。「だれだ、こいつは? って思われるでしょうね」と笑いながらも、「なめられないようにやてきます」ときっぱり。

 6月の全日本選抜選手権で日本代表になったものの、勤務の関係で全日本合宿に出られない日も多く、ここまでの練習量は決して多くない。学校が夏休みに入ったことで配慮してもらえ、この夏は足りなかった分まで練習量をこなしたいという。「頑張って遅れを取り戻してきます」と話してソウルへ向かった。

 遠征選手団は下記の通り。


 ◎役員

 【男子グレコローマン監督】西口茂樹(拓大教)、【同コーチ】飯室雅規(自衛隊)

 【男子フリースタイル監督】田南部力(警視庁)、【同コーチ】鈴木豊(自衛隊)

 【トレーナー】竹内剛(ひなた鍼灸マッサージ治療院)、川崎淳(ハンズコーポレーション)

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 ◎選手

 【男子グレコローマン】

▼55kg級 田野倉翔太(クリナップ)
▼60kg級 倉本一真(自衛隊)
▼66kg級 清水博之(自衛隊)
▼74kg級 金久保武大(ALSOK)
▼84kg級 岡 太一(自衛隊)
▼96kg級 斎川哲克(両毛ヤクルト販売)
       山本雄資(警視庁)
▼120kg級 前川勝利(早大)

 【男子フリースタイル】

▼55kg級 稲葉泰弘(警視庁)
        高橋侑希(山梨学院大)
▼60kg級 前田翔吾(クリナップ)
▼66kg級 井上貴尋(東京・自由ヶ丘学園高)
▼74kg級 高谷惣亮(ALSOK)
▼84kg級 松本真也(警視庁)
▼96kg級 山口 剛(ブシロード)
▼120kg級 荒木田進謙(警視庁警察学校)