※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
世界選手権での必勝を誓ったALSOKの4選手。左から金久保、吉田、伊調、高谷。
女子55kg級の吉田沙保里と同63kg級の伊調馨は新潟・十日町で行われている全日本合宿からの参加。今回が11度目の世界選手権出場となる吉田は「若手選手が出てくると思う。負けないよう、世界V14目指して頑張りたい」と、オリンピックを合わせて14度目の世界一に照準を合わせる。
合宿では坂道ダッシュなどで肉体を追い込む練習ができたそうで、いい練習ができていることを強調。約1年2ヶ月前に苦杯を喫したロシアのナタリア・コブロワ(旧姓ジョロボア=ロシア)が今月行われたユニバーシアードで優勝したことを挙げ、「負けられない」と気合を入れた。
伊調は「ひとつでも多く自分の技を出して、優勝を目指したい。けがもなく、順調にいっています。体重が少ないので、筋肉をつけて体重を増やしたい」とあいさつした。
約700人の招待客を前に健闘を誓ったレスリング4選手と柔道選手(水泳選手は欠席)
昨年のロンドン・オリンピック代表で、世界選手権出場は初となる男子フリースタイル74kg級の高谷惣亮は「昨年のロンドンは非常に悔しい思いをした。初めての世界選手権では一生懸命頑張りたい」と話し、ロンドンのリベンジを宣言。男子グレコローマン74kg級の金久保武大は、世界選手権は3大会連続出場となり、「前回、前々回ともメダルに手が届かなかった。全力で臨み、メダル獲得を目指したい」と宣言した。
男子の2人は、会社から壮行会をやってもらうのは、ともに2度目(注=2010年の金久保はまだ社員ではなかった)。大勢の支援を受け、やや緊張気味の表情の中にも「ありがたいし、気が引き締まります」と口をそろえた。
高谷が出場するフリースタイル74kg級には、2011年の世界選手権で勝ち、ロンドン・オリンピックでも金メダルを取ったジョーダン・バローズ(米国)がいる階級。過去2度闘ったことがあり、手が届かない相手とは思っていない。「かみ合う相手。このルール下では(注=過去2度は旧ルールでの対戦)、タックル合戦になりそうな気がします」と言う。
バローズは今年5月にニューヨークで行われた「セーブ・オリンピック・レスリング」キャンペーンの「米国・ロシア・イラン3ヶ国対抗戦」で勝ち、米国レスリング協会によると、国内外で54連勝中。だが、“目立ちたがり屋”の高谷にとっては、臆するどころか、最高の発奮材料。
獅子舞の演舞の時にOB選手が壇上に上がり、頭を噛んでもらう(厄除けとなり、その後、ご利益があるとされている儀式)
壮行会でのあいさつでは、「すごい人とは、自分との約束を守る人、という言葉を聞きました。そのために、必死で練習します」など、他の7選手の4~5倍の時間を費やして演説。オリンピック3連覇の2人(吉田、伊調)をさしおいて主役の座を“奪取”した形となった。世界選手権でも一番目立つ活躍が期待される。
壮行会では、かつてALSOKに在籍していた井上康生さん(柔道=2000年シドニー・オリンピック金メダリスト)、松永共広さん(2008年北京オリンピック・男子フリースタイル55kg級銀メダリスト)、湯元健一さん(同・男子フリースタイル60kg級銅メダリスト)も参加し、現役選手を激励した。
あいさつしたALSOKの村井温会長は「2016年のリオデジャネイロ・オリンピックには10人の代表を出す」と宣言し、今年の世界選手権での勝利を期待した。