2013.07.27

「連勝ストッパーになる!」(男子フリースタイル74kg級・高谷惣亮)…ALSOK壮行会

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 世界選手権(9月16~22日、ハンガリー・ブダペスト)に男女4選手を出場させるALSOKの壮行会(柔道と水泳の世界選手権壮行会と合同)が7月26日、都内の京王プラザホテルで行われ、約700人の招待客が出場選手の健闘を祈った。

 女子55kg級の吉田沙保里と同63kg級の伊調馨は新潟・十日町で行われている全日本合宿からの参加。今回が11度目の世界選手権出場となる吉田は「若手選手が出てくると思う。負けないよう、世界V14目指して頑張りたい」と、オリンピックを合わせて14度目の世界一に照準を合わせる。

 合宿では坂道ダッシュなどで肉体を追い込む練習ができたそうで、いい練習ができていることを強調。約1年2ヶ月前に苦杯を喫したロシアのナタリア・コブロワ(旧姓ジョロボア=ロシア)が今月行われたユニバーシアードで優勝したことを挙げ、「負けられない」と気合を入れた。

 伊調は「ひとつでも多く自分の技を出して、優勝を目指したい。けがもなく、順調にいっています。体重が少ないので、筋肉をつけて体重を増やしたい」とあいさつした。

 

■目立ちたがり屋”の高谷惣亮が主役を奪取!

  昨年のロンドン・オリンピック代表で、世界選手権出場は初となる男子フリースタイル74kg級の高谷惣亮は「昨年のロンドンは非常に悔しい思いをした。初めての世界選手権では一生懸命頑張りたい」と話し、ロンドンのリベンジを宣言。男子グレコローマン74kg級の金久保武大は、世界選手権は3大会連続出場となり、「前回、前々回ともメダルに手が届かなかった。全力で臨み、メダル獲得を目指したい」と宣言した。

 男子の2人は、会社から壮行会をやってもらうのは、ともに2度目(注=2010年の金久保はまだ社員ではなかった)。大勢の支援を受け、やや緊張気味の表情の中にも「ありがたいし、気が引き締まります」と口をそろえた。

 高谷が出場するフリースタイル74kg級には、2011年の世界選手権で勝ち、ロンドン・オリンピックでも金メダルを取ったジョーダン・バローズ(米国)がいる階級。過去2度闘ったことがあり、手が届かない相手とは思っていない。「かみ合う相手。このルール下では(注=過去2度は旧ルールでの対戦)、タックル合戦になりそうな気がします」と言う。

 バローズは今年5月にニューヨークで行われた「セーブ・オリンピック・レスリング」キャンペーンの「米国・ロシア・イラン3ヶ国対抗戦」で勝ち、米国レスリング協会によると、国内外で54連勝中。だが、“目立ちたがり屋”の高谷にとっては、臆するどころか、最高の発奮材料。

 「バローズを破れば、アメリカのレスリング協会のホームページに写真が出て、『連勝記録を止めたのは日本のタカタニ』と載りますよね」と気合十分。「しゃべることが好きなのに、講演の依頼が全然来ないんです。バローズを破り、メダルを取って目立ち、講演の依頼がどんどん来るようにしたい」と“独演”が止まらない。

 壮行会でのあいさつでは、「すごい人とは、自分との約束を守る人、という言葉を聞きました。そのために、必死で練習します」など、他の7選手の4~5倍の時間を費やして演説。オリンピック3連覇の2人(吉田、伊調)をさしおいて主役の座を“奪取”した形となった。世界選手権でも一番目立つ活躍が期待される。

 壮行会では、かつてALSOKに在籍していた井上康生さん(柔道=2000年シドニー・オリンピック金メダリスト)、松永共広さん(2008年北京オリンピック・男子フリースタイル55kg級銀メダリスト)、湯元健一さん(同・男子フリースタイル60kg級銅メダリスト)も参加し、現役選手を激励した。

 あいさつしたALSOKの村井温会長は「2016年のリオデジャネイロ・オリンピックには10人の代表を出す」と宣言し、今年の世界選手権での勝利を期待した。