※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
藤沢団長が最後にあいさつし、激闘をねぎらった
日本選手団の藤沢信雄団長(大東大職)は「オリンピック・チャンピオンや世界チャンピオンも参加し、世界学生選手権とはワンランク上の大会。世界選手権につながる大会だった。その中で女子が3階級で優勝し、男子も銅メダル2個という成績はよくやったと思う。この成績が次代の(世界選手権の)成績につながると思う」と評価し、「このまま鍛えていけば将来の世界チャンピオン誕生も期待できる」と評価した。
男子グレコローマンの西口茂樹監督(拓大教)は「3分2ピリオド下での闘い方が見えてきた。外国選手はばてる。2分3ピリオドよりも闘いやすい。銅メダルを取った田野倉世界で通じる力を十分に見せてくれた。メダルを逃したものの、66kg級の音泉(秀幸=ALSOK)も自分のレスリングができた」と評価。
60kg級の射場大地(徳島県協会)も、初戦で優勝したロシア選手に0-2の接戦。「地元びいきもあったし、最後は勝ちといってもいい内容だった」と話し、銅メダル1個以上の内容があったことを話した。
メダル獲得の選手。前列左から田野倉、村田、後列左から菅原、土性、登坂
金メダル3個を取った女子の栄和人監督(至学館大教)は「ハイレベルの中で金メダル3個を取ったことは評価できる。優勝した選手はタックルでポイントを取ることができた選手。勝てなかった選手は最後にタックルで取られていた選手」と話し、タックルの攻防が勝敗を分けたと分析。
その中でも評価したのは48kg級の登坂絵莉(至学館大)で、3、4年前はカウンタータイプの選手だったが、それを攻撃型に修正してきた成果がやっと出てきたという。51kg級の菅原ひかり(至学館大)も、変則型の構えの修正ができてきて、タックル力で勝ったと見ている。
67kg級の土性沙羅(至学館大)はタックル返しを受けて納得のできない判定を受け、リードされてしまったが、あえてチャレンジ(ビデオチェック要求)せず、「逆転しろ」と突き放した結果、タックルを決めて逆転したという。
一方、銅メダルに終わった55kg級の村田夏南子(日大)は、差しの強烈さがあるものの、タックル力がいま一つという。いなしたり崩したりしてタックルを決める力を磨かなければ「世界で通用しない」とし、失敗してもいいからタックルにこだわり、その壁を乗り越えることが世界チャンピオンへの道とした。
ユニバーシアードはこのあと、2015年に韓国・光州広域、2017年に台湾・台北で行われるが、レスリングはいずれも実施されない予定。来年の世界学生選手権は7月にハンガリー・ペーチで行われる。
男子グレコローマンで唯一銅メダルを取った田野倉
■女子48kg級・登坂絵莉(至学館大)「いつもとは違う雰囲気の大会。楽しかったです。中学生の時に参加したクリッパン国際大会のシニアの部で優勝して『強いなあ』と思ったアメリカ選手もいて、ちょっとは緊張しました。練習してきたタックルを使って相手をばてさせたことが勝因だと思います。外国選手はスタミナがないので、3分2ピリオドは日本選手にはやりやすいルールだと思います。ただ、相手をばてさせるために動いて自分もばてていたので、もっとスタミナをつけたい」
女子で金メダルを取った3選手。左から菅原、土性、登坂。
■女子67kg級・土性沙羅(至学館大)「国際大会の優勝から見離されていましたけど、特に意識はなかったし、緊張もなかったです。監督から『世界選手権の代表なんだ。自信を持ってやれば大丈夫』と言われ、気持ちを強く持ってやることができました。決勝はタックル返しで3点を取られましたが、落ち着いて、自信を持ってやることができて逆転できました。自分から攻めてポイントを取れたので、少し進歩したなか、と思います。レベルの高い総合大会に出場できたことはよかったです。(決勝で)アジア・チャンピオンを破ったことで、世界選手権へ向けて弾みがつきました。もっと攻める練習をしたい」