※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
選手に「またさき」の指導をする高田裕司強化本部長
現在ロシアで行われているユニバーシアードの代表は不在で、世界選手権代表の中にも勤務や授業等の都合で参加できない選手もおり、選手のレベルも数も通常の合宿に満たない合宿となったが、高田裕司強化本部長(山梨学院大教)は「パートナーが少なく、練習相手が強くなくても、息を上げる練習はいくらでもできる。息の上がらない練習は無駄な練習だ」と、自ら厳しさを求める姿勢を要求。
選手はまだ3分2ピリオドのスパーリングに慣れておらず、多くの本数をこなす段階には至っていないが、「(優勝するには)1日に5、6試合も闘わなければならない。徐々にスパーリングの本数を増やしていくように」と、世界選手権までの課題を課した。
技術練習では、高田本部長が率先して「またさき」の技術指導を行った。世界のトップ選手同士の対戦では簡単にかかる技でないことに加え、スタンド戦で見合うことの多かった2分3ピリオドのルール下では、ごくまれにしか見ることのできなくなった技だが、高田本部長は「かける方は息を整えられ、受ける方はスタミナをロスする技」として、新ルール下では有効な技と説明。日本伝統のスタミナで勝つパターンに持ち込むためのひとつの戦法として活用を求めた。
井上謙二コーチ(自衛隊)の技術指導を受けるフリースタイル55kg級代表の稲葉泰弘(警視庁)
日本列島は連日猛暑が続いており、高田本部長が監督を務める山梨学院大ではいつもより練習時間を短くしたというほどの異常気象。しかし、味の素トレーニングセンターはエアコンが完備しており、午前の屋外トレーニングを30分早めて9時開始にする配慮はしたが、猛暑の影響は少ない。
高田本部長は「快適な練習空間で十分な練習をやり、食事をしっかり摂って体力を戻してほしい」と話し、夏本番へ向けての体調管理を求めた。合宿は18日まで行われる。