※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
世界選手権(9月16~22日、ハンガリー・ブダペスト)の代表選手を中心とした全日本女子チームは6月24日から東京・味の素トレーニングセンタで合宿をスタート。25日は女子51kg級の代表決定参考試合を行い、下記の通り7階級の代表を決めた。
▼48kg級 登坂絵莉(至学館大) 2年連続2度目の出場
▼51kg級 宮原 優(東洋大) 初出場
▼55kg級 吉田沙保里(ALSOK) 11大会連続11度目の出場
▼59kg級 伊藤彩香(至学館大) 初出場
▼63kg級 伊調 馨(ALSOK) 2大会ぶり8度目の出場
▼67kg級 土性沙羅(至学館大) 初出場
▼72kg級 鈴木博恵(クリナップ) 2年連続2度目の出場
栄和人・女子強化委員長(至学館大)は「全階級で優勝を狙っていくが、現実的に考えても4階級で金メダルを取れる」とし、55、63kg級の“黄金階級”以外では、48kg級の登坂と51kg級の宮原に期待を寄せた。
練習を見守る栄和人強化委員長
オリンピックからの除外問題を機に、階級の男女格差の見直しが進められ、2020年大会にレスリングが存続すれば、女子が6階級になる可能性が高まっている。同委員長は2016年リオデジャネイロ大会から6階級になる可能性も捨てていない。「いまの階級で全力を尽くし、世界一になることがオリンピックで金メダルを取る道だ」と話し、目の前の大会に全力を尽くすことを望んだ。
参考試合の末に世界選手権のキップを取った宮原は、2010年ユース・オリンピック優勝をはじめとした豊富な国際大会の経験と実績をかっている。
■吉田、伊調にも8年半の“ルールのブランク”あり
11度目の世界選手権出場が決まった55kg級の吉田沙保里(ALSOK)は、オリンピックの3度優勝を含めて世界14連覇を目指す。「全日本選手権を休んだので(ブランクがあって)不安もあるけど、決まったことで新たなスタートです」と、正式決定を機に気合を入れ直した。
全日本選抜選手権の決勝では村田夏南子(日大)に大苦戦したが、「世界選手権前に新たな課題が見つけることができてよかった」と振り返る。そのひとつが、8年半ぶりに経験した3分2ピリオドのトータルポイントのルール。「2004年以来なので、体が覚えていらず、まだ慣れていない。世界選手権までに体力をしっかりつけて対応できるようにしたい」と話した。
世界選手権は「(出場してくる)相手はそう変わらないと思うけど、ビデオが簡単に手に入る時代なので、しっかり研究して臨みたい」と、これまであまりやってこなかった事前の研究にも力を入れて臨むという。
同じく3分2ピリオドのルールを経験している伊調も8年半の“ブランク”は長く、「3分というのは長く感じます」というのが全日本選抜選手権で闘った感想。3分単位の練習を繰り返しても、「練習と試合は違う。できれば世界選手権前にもう1大会、やっておきたかった」と言う。
しかし、日本選手はタックルがあってスタミナ面でもたけているので有利だという。練習の1本1本を試合そのものに近づけてやることで補い、世界選手権へ向かう。「世界の舞台で、やってきた技ができるかどうかや、自分のレスリングができるかどうかを試してみたい」と目標を話した。
この冬、2人のいない全日本チームの主将としてチームを引っ張った72kg級の鈴木博恵(クリナップ)は、アジア・チャンピオンの肩書で臨む2度目の世界選手権。「去年は1回戦負けで悔しい思いをした。今年はひとつでも多く勝ち、メダルを手にしたい」と話した。
![]() スパーリングでも盤石の強さを見せる伊調 |
![]() 導入されたストレンズバッグでスパーリングの合間にも練習の鈴木 |