2013.06.02

IOC理事会出席の福田富昭会長らが帰国

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

ロシア・サンクトペテルブルグで行なわれた国際オリンピック委員会(IOC)理事会でロビー活動を行った日本協会の福田富昭会長(国際レスリング連盟副会長)とオリンピック3連覇の吉田沙保里選手(ALSOK)が6月1日、成田空港着のアエロフロート航空で帰国。日本協会の理事で、2020年東京五輪招致推進本部の馳浩本部長(衆議院議員)も同便で帰国し、3人がそろって会見に臨んだ。

 レスリングが最終候補に残り、吉田選手がロビー活動で大活躍しての帰国ということもあって成田空港には多くの報道陣が詰めかけ、居合わせた一般客からの歓迎も受けた。

 2020年の五輪追加競技の“第一次選考会”となった今回の理事会で、レスリングは1回目の投票で過半数を獲得して“トップ当選”。あらためて感想を聞かれた福田会長は「100万人に近い支援(署名)をいただいたことが私たちの背中を押してくれた。心から感謝したい。まだ“予選通過”です。9月に向けて頑張りたい」と、日本全国の賛同者に感謝の意を表した。

 馳氏は、「どうしてレスリングが外されたのかの分析ができて理由が明確になり、ラロビッチ会長の下で団結して国際レスリング連盟の改革とルール改革ができた。9月はIOC委員全員の投票だから、世界中の委員たちに(ロビー活動で)働きかけていくことが必要だ」と生き残りのポイントを挙げた。

 ともに、今回のロビー活動で精力的に活動した吉田選手へのねぎらいも忘れなかった。福田会長が「(吉田と同じく五輪3連覇の偉業を持つ)カレリンが来なかったので、金メダルを3つ見せられるのは吉田選手だけだった。レスリングのアピール、さらに東京招致のアピールにもなった」と称え、馳氏は「全日本選抜選手権(6月15~16日、東京・代々木競技場第2体育館)前の大事な時に、オリンピック3連覇の現役選手が1週間も(予定を空けて)来てくれたことは意味が大きかった」と話した。

 吉田は「(残り3枠に残り)ホッとしています。これまで協力してくださった皆様に本当に感謝しています。闘いはまだ続くし、これからが大事な勝負になるので気を抜かずに頑張りたい」と話した。

レスリングが最終候補に入れたので、次の直近の目標は自身のこと。「私は現役なので、(目標は)全日本選抜選手権で優勝して9月の世界選手権の代表になること。それが決まったら、また(五輪除外問題について)頑張りたい」と意気込みを示した。現地では滞在2日目にランニングと腕立て伏せをした程度で、3日目からは全く体を動かせなかったというが、「久しぶりの休養」だと割り切って任務に集中した。

 午前10時半すぎに成田空港に到着した3人は、午後1時からの今年度初の日本協会理事会出席のため都内へ直行。吉田も理事会の最初に顔を出して任務の報告を行い、拍手で迎えられた。

 理事会では、全日本選抜選手権の試合の合間に役員全員がマットに上がり、会場にいる支援者たちに感謝の意を伝える計画などが話し合われた。

(文・撮影=増渕由気子)