2013.05.28

29日にIOC理事会…最終候補に残らなくとも、9月に逆転の道あり

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 2020年オリンピックで実施する残り1競技を審議する国際オリンピック委員会(IOC)の理事会が、5月29日にロシア・サンクトペテルブルグで行われる。

 29日は、午前中にIOC理事会とオリンピック夏季大会競技団体連合(ASOIF)、同理事会とオリンピック冬季大会競技団体連合(AIOWF)がミーティングを行い、午後1時30分から8時にかけて、候補8競技がプレゼンテーションを行い、理事会が投票。午後8時半(日本時間30日午前1時半)から記者会見を開いて9月の総会にはかる競技が発表される。

 候補競技は、2月の理事会で中核競技からはずされたレスリングのほか、スカッシュ、ローラースポーツ、スポーツクライミング、野球&ソフトボール、空手、武術、ウェークボードの8競技(順不同)。残る候補競技数は明らかにされていないが、3競技という声が多い。

 IOCのジャック・ロゲ会長(ベルギー)は、オリンピック・ニュースの専門サイト「around the rings」のインタビューに答え、「2つまたは3つの競技が接近した状況なら最終候補になる。1つの競技が他に比べて大きく抜けだしているようなら、1競技のみが残る。私はどうなるかは知らない。理事会が決めることだ」と話している。

 2月にレスリングが中核競技に残らなかった直後は、レスリングを外した同じメンバー(ロゲ会長を除く14人の理事の投票)によって決まることと、IOCが活性化のため競技の積極的な入れ替えを目指していることから、レスリングが残る可能性は低いとされていた。

 しかし、IOC委員を含めた世界的な反響の大きさと、国際レスリング連盟(FILA)がIOCの要望を迅速に取り入れて組織改革を断行したことで、国内外の主要メディアの多くは、レスリングは3競技には残ると報じている。

 万が一にも最終候補競技に残らなかった場合でも、9月のIOC総会(アルゼンチン)で“逆転”の道が残されていることが分かった。IOCでは総会が最高決定機関。2月の理事会の決議が総会で承認されなければ、理事会決定が差し戻され、新たな中核25競技が選ばれることになるという。

オリンピック憲章18-1
総会はIOC委員の全体会議である。総会は、IOC の最高機関である。その決定は最終的なものである。

オリンピック憲章18-2(総会の権限)-8
「NOC、NOC連合、IF、IF連合、その他の組織に対するIOCの正式の承認の授与または撤回を決定すること。」

 共同通信が報じたところによると、国際近代五種連合の副会長を務めるIOCのサマランチ・ジュニア理事(スペイン)も「IOCでは総会が“王様”で最終決定権を持つ。中核競技の否決もあり得る」と話したそうで、同連合はそうした状況に備えて現在でもロビー活動に力を入れているという。

 理事会がレスリングを外したことに反対するIOC委員は多く、今回も外すようなことがあれば、総会が平穏に終わらない可能性が出てくる。それだけに、理事会は今回の選抜ではレスリングを残す見方が強い。