※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=保高幸子)
ロシア・モスクワで行なわれていた国際レスリング連盟(FILA)の臨時総会に出席していた日本協会の福田富昭会長(FILA副会長)が5月20日、成田空港着のアエロフロート航空で帰国。報道陣の質問に答え、ネナド・ラロビッチ会長代行の会長就任(任期は前会長の任期である2014年9月まで)と、女性委員会や倫理委員会の新設などの組織改革、ルール改正についての報告をした。(右写真)
ルール改正について、「いつから実施するのか?」という質問に、福田会長は「ルールが急に変わったことは過去にもあり、対応してきた経験がある。すぐにやります」と回答。「カレリン(ロシア=オリンピック3度・世界選手権9度優勝)やファザエフ(ソ連=オリンピック2度・世界選手権6度優勝)、ヨルダノフ(ブルガリア協会長=1996年アトランタ・オリンピックほか世界選手権7度優勝)など各国代表として来ていたかつての強豪選手が『半年後や一1年後でなく、すぐに変更すべきだ』という意見を出し、全体的にもその意見が圧倒的に多かった」と、世界のレスリング界が望んでの早期の改正だった説明した。細かい修正点についてはその都度変えていくとのこと。
国内での対応については、具体的な大会名はあげられなかったが、6月8日(土)~9日(日)からの全国中学生選手権(茨城・茨城県立スポーツセンター)や 6月12日(水)~14日(金)の東日本学生春季新人選手権&東日本学生女子選手権(東京・駒沢体育館)も対象になりそう。
■日本のお家元、軽量級の死守へ全力
議題となると思われていた階級の変更決議が行われなかったことについては、「ひとつの議題について多くの意見交換があり、今回は時間が足りなかった」と説明。「いつ議論するか、いつ(新階級を)導入するかなど、まだ決まっていないが、FILAからの依頼で各国から階級変更案は提出されている。日本からは軽量級重視の変更案を提出しているが、最軽量級を60kg台にと言っている国もある。アジアの国々や中南米などと協力して50kg台の階級を残したいと思っている」と、日本にとってメダルに近い軽量級を死守するために動くことも明かした。今年の世界選手権は現行階級で実施されることは決定している。
今月29日にロシア・サンクトペテルブルグで行なわれる国際オリンピック委員会(IOC)の理事会では、2020年と2024年のオリンピックの追加1競技を候補8競技の中から絞り込まれる予定。各競技団体がIOC理事の前でプレゼンテーションを行うが、専門のアドバイザー会社である米国のTSC社が資料を作成中という。
「レスリングの歴史や子供たちの夢であることを前面に押し出すのでは、と思う。勝機については、IOCが決めることなので私からは何とも言えない。まったく読めない。FILAとしては、やれることをやった。あとは託すしかない」と話した。
プレゼンテーションには欧州近隣のメダリストが集まることになっており、日本からは吉田沙保里選手を連れて行き、ロビー活動に力を入れるという。