※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)
2年連続二部優勝の防大チーム
松尾耕大主将ともう一人のポイントゲッターが負傷し、昨年より苦戦が予想されたリーグ戦だった。しかし、自衛隊体育学校ほかへの出げいこで養った実力は本物だった。勝目監督は「基本をしっかり身につけさせたのがよかったです」と言う。
部員の中で高校時代にレスリングをやっていたのは松尾主将ただ一人(長崎・島原高卒)。そんなチームにとって自衛隊体育学校の練習は過酷なものだっただろうが、本気になって闘うというより指導してくれる部分も多かった。勝目監督は「トップ選手のレスリングを間近で見るのも練習。自衛隊の練習に加わり、その空気を経験するだけでも自信につながるものです」と効果を説明する。
その時は拓大、早大、国士舘大も練習に参加しており、同じ練習メニューをこなしたという。これも自信になること。そうした努力が報われた2年連続優勝だった。
■「4年間の苦労が報われた」…松尾耕大主将
自衛隊幹部候補生としての授業に追われて練習時間に全員がそろうことは少ない。土曜、日曜や春休みなどに集中して練習して実力を養成するが、学生間で闘えるレベルになると卒業が待っている。二部リーグで優勝する実力をつけても、その上(一部リーグの入れ替え戦)にいくことが厳しいのが現実だ。
チームを引っ張った松尾主将(左)
松尾主将は、けがで出場できなかったことは残念そうだったが、「4年間の苦労が報われて感無量です」と話し、主将の責任を果たせて満足そう。主将が引っ張り「みんなでつくり上げたチーム」という意識があり、この優勝を素直に受け止めた。勝因は「チームの団結力」と、どの試合でも流れをつくった「軽量級選手の踏ん張り」と振り返った。
4年生は8月の全日本学生選手権(インカレ)が最後の試合になる。試合に出られなかった分、「インカレで燃えて、最後を飾りたいです」と、あと約3ヶ月の選手生活にかける。