※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
レスリングのオリンピック競技存続をアピールするため、米国レスリング協会が政治的に対立しているイランとロシアを招いての親善対抗戦が5月15日、ニューヨークのグランド・セントラル駅構内のコンコースに隣接しているホールで行われ、イランが米国を6-1で、米国がロシアを8-1で下した。
米国とイランは核開発をめぐり、米国とロシアはシリア情勢をめぐり、政治的には対立しているが、「レスリングは世界をひとつにまとめることができる」というアピールをすることにより、レスリングのオリンピック競技存続へつなげようとする3国の思惑が一致して実現した。
イランの選手が米国で試合をするのは、2003年9月にニューヨークで行われた世界選手権以来、9年8ヶ月ぶり。米国レスリング協会のホームページは、会場には、数は多くないがニューヨーク在住のイラン人が詰めかけ、熱烈な声援を送ったという。
米国とイランの試合はすべて男子フリースタイル。イランが2度世界王者に輝いている66kg級のメフディ・タガビなど世界のトップ選手をそろえ、全米王者を中心とした米国に圧勝した。米国は今年3月に大会史上3人目の全米学生選手権4度の優勝を達成したカイル・デイクが74kg級でシニアの国際舞台にデビュー。66kg級でアジア王者に輝いたこともあるベテランのハサン・タフマセビを2-0(2-0,1-0)で下した。
米国とロシアの試合は、フリースタイル、女子、グレコローマン の9試合が行われ、米国が8勝をマーク。米国は60kg級でロンドン・オリンピック銅メダルのコールマン・スコット、74k級で同オリンピック金メダルのジョーダン・バローズらが勝ち、ロシアはグレコローマン84kg級で一矢報いた。
各試合結果は下記の通り。イランは19日にもロサンゼルスで地元チームとの対抗戦に臨む。
※すべて男子フリースタイル
イ ラ ン | ○[6-1]● | 米 国 | ||
Hasan Rahim | ○ | 2-0(0-1,1-0,5-2) | ● | Obe Blanc |
Masoud Esmailpour Joybari | ○ | 2-0(1-0,6-0) | ● | Reece Humphrey |
Mehdi Taghavi | ○ | 2-0(3-1,2-0) | ● | Kellen Russell |
Hassan Tahmasebi | ● | 0-2(2-0,1-0) | ○ | Kyle Dake |
Ehsan Lashgari | ○ | 2-0(1-0,1-0) | ● | Keith Gavin |
Hamed Tatari | ○ | 2-0(3-1,1-0) | ● | J.D. Bergman |
Khomeil Ghasemi | ○ | 2-0(1-1,1-0) | ● | Tervel Dlagnev |
※Fは男子フリースタイル、Feは女子、Gは男子グレコローマン
級 | 米 国 | ○[8-1]● | ロ シ ア | ||
F60 | Coleman Scott | ○ | 2-1(1-0,0-1.3-0) | ● | Artas Sanaa |
F60 | Logan Stieber | ○ | 2-1(5-7,6-0,3-0) | ● | Opan Sat |
F66 | Brent Metcalf | ○ | 2-1(0-2,1-0,7-0) | ● | Soslan Ramanov |
F74 | David Taylor | ○ | フォール、2P0:16(7-1,F) | ● | Magomed Kurbanaliev |
F74 | Jordan Burroughs | ○ | 2-1(1-1,5-0,7-3) | ● | Saba Khubezhty |
Fe55 | Helen Maroulis | ○ | フォール、2P(2-0,F) | ● | Irina Kisel |
G66 | Kendrick Sanders | ○ | 2-0(1-0,1-0) | ● | Asker Orshokdugov |
G74 | Ben Provisor | ○ | 2-1(1-0,0-1,1-0) | ● | Ambako Vachadze |
G84 | Jordan Holm | ● | 2-1(0-1,1-0,1-0) | ○ | Evgeni Saleev |