※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
国際レスリング連盟(FILA)は5月10日、国際スポーツ裁判所(CAS)が同日、FILAのラファエル・マルティニティ前会長(スイス)から訴えのあった2月の理事会(タイ)での信任投票が無効だったという訴えを退け、ネナド・ラロビッチ会長代行(セルビア)の選出が有効とした判決を報じた。前会長は5月18日にモスクワで行われるFILAの臨時総会を無効とも訴えていたが、正式に開催が決定した。
CASは前会長がFILA理事に残ることは認めた。マルティニティー氏は2008年北京オリンピックの際に行われた総会で、対立候補がいなかったため無投票で会長に再任され、FILAの理事会メンバーに入った。その総会では、日本協会の福田富昭会長らが選挙を経て理事に再任または新任したのに対し、マルティニティー氏は選挙という手順をふまない理事だった。
FILAは、会長職を降りた以上、理事ではないと判断したのか、FILAホームページに掲載されている理事メンバーからマルティニティー氏の名前は消えており、3月の欧州選手権(グルジア)では、マルティニティー氏が来場しながら理事席に席が用意されていなかった。
CASが理事としてとどまることを認めた以上、17日の理事会と18日の総会へ出席する権利が認められたことになり、同氏が会長選挙に立候補する可能性が出てきた。世界のレスリング界は5ヶ国語を駆使して精力的な活動をしているラロビッチ会長代行にレスリングの運命を託す流れとなっており、マルティニティー氏が会長に返り咲く可能性はないと言っていい。
ラロビッチ会長代行は「私たちはCASの決定を受け入れる」と、前会長の理事留任も認める意思を示す一方、「5月18日の総会と、レスリングの将来を決定する29日の国際オリンピック委員会(IOC)理事会を楽しみにしている」と話した。