2013.04.12

「レスリング復帰の可能性は高まっている」…IOCデニス・オズワルド委員(スイス)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 サッカーの元日本代表チーム主将で、現在は国際サッカー連盟(FIFA)運営のFIFAマスター(スイス)で指導者の勉強をしている宮本恒晴氏は、日本経済新聞で連載している「From FIFAマスター」(4月10日付)で、現地で得た情報としてレスリングの五輪復帰の可能性が高まっていることをレポートした。

 宮本氏はFIFAマスターでの授業で、国際オリンピック委員会(IOC)のデニス・オズワルド委員(スイス)の授業を受けた際、同委員がレスリングの問題にふれたという。

 IOCは五輪の肥大化抑制のため五輪の出場選手数を減らす方針を打ち出しており、以前から国際レスリング連盟(FILA)に対し、グレコローマンとフリースタイルの2スタイルの統一を求めていた。FILAの反応は鈍く、これが2月のIOC理事会でのレスリングの除外勧告につながったという。

 現在のIOCの空気は変わってきており、同委員は追加競技を正式に決める9月のIOC総会で「レスリングが復帰する可能性は高まっている」との見方を披露したとのこと。

 オズワルド委員は国際ボート連盟(FISA)の会長で、2000~12年にIOC理事。2000年から夏季五輪の競技連盟で構成される夏季五輪国際競技連盟連合(ASOIF)の会長を務めており、9月の総会ではIOC会長選挙への出馬も予想される実力者。

 ASOIFは3月12日に、IOC理事会のレスリング除外の決議に対して「IOC、およびオリンピック・ムーブメントの観点からして最善のやり方ではない」とし、別のプロセスで行うようIOCに“建設的な書簡”を送る声明を発表していた。

 レスリング除外の空気が変わった理由には言及されていないが、世界的に大きな反響を引き起こしていることや、FILAがIOCとのパイプを太くし、リクエストに応じていることなどが推測される。

 後者の場合は、男子のスタイルの一本化や階級減ということもありうるが…。いずれにせよ、IOCの風向きがレスリングに向いていることは間違いなさそう。