2013.04.02

【全国高校選抜大会・特集】日野(滋賀)が滋賀県勢初の全国3位に躍進、個人でも園田平が優勝

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文=池田安佑美、撮影=飯島隆)

チーム一丸でベスト8の壁破った! 3月27~28日に行われた全国高校選抜大会・学校対抗戦で日野(滋賀)がベスト4に進出。準決勝で昨年のインターハイ優勝の花咲徳栄(埼玉)に2-5で敗れたものの、滋賀県勢初の3位入賞を果たした。

 個人戦でも96kg級の園田平が、昨年の兄・新(120kg級)に続いての優勝を果たした。南敏文監督と北岡秀王コーチは、園田の個人優勝は順当勝ちとしながらも、団体の県勢初の快挙には、「くじ運がよかった」と組み合わせの利を強調し、謙虚な姿勢を見せた。

■合言葉は「園田にまわせ」…最重量級に絶対的エース

 だが、現在全日本王者に登りつめている清水博之(グレコローマン66kg級=自衛隊)、倉本一真(グレコローマン60kg級=同)らが在学中の時にも果たせなかった3位入賞は価値がある。北岡コーチは「インターハイも含めてもベスト8が最高だったので、一つの形になったし、生徒たちも自信につながったと思う」と、選手たちをねぎらった。

勝った試合のスコアはすべて4-3と接戦を制しての3位だった。大車輪の活躍をしたのは、もちろん、120kg級に出場した園田だ。「園田までに3勝を挙げれば勝てるぞ」―。絶対的なエースを7番手に擁する日野は、「園田にまわせ」を合言葉に自然とチームがひとつになった。

 園田は「3-3で勝負が回ってきた時の緊張感は、個人戦のものとは全然違う」と振り返ったが、学校対抗戦、個人戦ともに全勝と大活躍。「個人戦で一人だけ優勝するより、チームでメダルを獲った方が全然うれしい。インターハイでは、個人と団体で活躍したい」と、学校対抗戦で獲得した銅メダルを個人戦の金メダルと同じくらい誇らしげにかざした。

■団体戦の好成績はチームの士気が上がる!

 北岡コーチは「園田兄弟のように、キッズ時代から強い選手が在籍していることに刺激を受けて強くなる初心者の選手もいます。けれど、逆に『(素人の自分と)次元が違うな』と思って、一線を画してしまう生徒もいるのです」と、高校レスリング界の現状を説明する。

 エリート選手と素人選手の気持ちが離れすぎてしまうと、チームの士気が下がってしまう。しかし、学校対抗戦での3位により、「僕らもやればできるんだと思えるようになったと思う」と北岡コーチ。団体好成績による今後の一番のメリットは、インターハイに向けてチーム全体の士気が上がることだ。

 園田の高校3冠王に向けて、そしてインターハイ上位入賞に向けて、日野が夏に向けていいスタートを切った。