2013.03.05

カレリン氏(ロシア)はブルガリア協会・ヨルダノフ会長の行動に反対

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 ブルガリア・レスリング協会のホームページは、同協会のバレンチン・ヨルダノフ会長が1996年アトランタ五輪の金メダルを国際オリンピック委員会(IOC)に返上したことに対し、IOCは「(アトランタ五輪の)成績に影響しない。他の選手に金メダルを与えることはない」と発表したことを掲載している。

 ヨルダノフ会長の行動にならい、2000年シドニー五輪の金メダリストのサヒド・ムリタザリエフ氏(ロシア)も金メダルをIOCに返上する意思を表明したと報じているが、ロシア・スポーツ界の2人の有力者は、2人の金メダリストのIOCへの金メダル返還に対して反対の主張をしているという。

 ロシア・オリンピック委員会のアレクサンドル・ズコフ委員長は、IOC委員に対する説得の必要性を認めながらも、「メダルはアスリートが正当な手段で手に入れたものであり、アスリートが持っているべきものである」と話した。

 五輪V3のアレクサンダー・カレリン氏は「ヨルダノフもムルタザリエフも私の友人です。しかし、私はそのような行動がIOC理事の理解につながることはないと思う。私はメダルを返上しないし、それが正しい行動だと思う」とコメントしたという。

 ブルガリアでは、五輪2度優勝で現在はグレコローマンのナショナル・チームのヘッドコーチであるアルメン・ナザリアン氏が、IOCに抗議するため、ハンガーストライキに入った。3月23日からグルジアのトビリシで行われる欧州選手権(大会は19日から開始)まで、シロップ以外は食べないそうで、「私の行動が、IOC理事会のレスリングの除外勧告の再考につながることを望む」と話した。

 同ホームページは、国際レスリング連盟(FILA)のネナド・ラロビッチ会長代行(セルビア)が、すでに何人かのIOC委員と会合を持っていることを報じている。

※ハンガーストライキ=抗議や要求貫徹のための手段として断食するストライキの一種。要求を受け入れなければ餓死に至るという状況をつくりだして注目を集め、主義・主張を世に広めたりすることが目的。日本では、1992年に青島幸男参議院銀が金丸信批判で実行したのが有名。30時間で入院することになったが、多くの賛同者が現れた。これが影響したかどうかは定かでないが、金丸氏は脱税で逮捕・起訴という事態となった。