※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
女子ワールドカップ代表チーム
72kg級の鈴木博恵(クリナップ)以外は全日本選手権の2、3番手の選手で、51kg級の宮原優(JOCエリートアカデミー/東京・安部学院高)以外はW杯出場が初めていという人選。2020年五輪をも目指した強化という選考だったが、同五輪でのレスリングの五輪除外問題がふりかかり、モチベーションの高め方が難しい状況となってしまった。
しかし、笹山秀雄監督(自衛隊)は「選手にできることは目の前に闘いに全力を尽くすこと。全力を出し切らせ、優勝を目標として最低でも3位に入れるようにしたい」と話す。
2001年にスタートしたこの大会、3位を外れたことは一度もなく、2008年北京五輪の翌年の若返ったチームの時も3位だった。当然、プレッシャーはあると思われるが、「個々の選手が実力を出し切れば3位には入れる力はある。若手にとってはいいチャンス。世界の晴れ舞台で闘えることなど、そうあるものではない。この機会を生かしてほしい。監督、コーチも一丸となる」と話した。
吉村祥子コーチ(エステティックTBC)は「若いだけに勢いがつけば結果を出せる」と、若さを武器に世界の強豪と闘うことを要望。全日本レベルの遠征に必ず帯同していた栄和人強化委員長や木名瀬重夫・日本協会コーチがいない遠征になったが、「今まで学んできたものを生かして、精いっぱい選手をサポートしていきたい」と話した。
齋藤将士コーチ(警視庁)は「オリンピックが終わって各国ともメンバーが変わると思うので、情勢をしっかり見てきたい。選手は経験を積み、実りある遠征にしてほしい」と要望し、2、3番手でも世界で闘えるようになることでの日本全体の底上げを望んだ。
シニアで初の海外遠征となる栄希和(左端)
1月のヤリギン国際大会(ロシア)に続いての主将となった72kg級の鈴木は「チームが一丸となって闘えるようにしたい。個人的で最近あまりいい成績を残せていないので、1勝でもあげてチームに貢献したい」と話す。
59kg級で当初の代表だった選手が負傷で辞退し、急きょ出場が決まった栄希和(至学館大)は、父である栄和人強化委員長が出場することのなかったW杯のマットを踏む。「みんな強いと思う。技術や実力で劣っている分、気持ちで負けないようにしたい」と気持ちを高ぶらせる。
父からも「相手が強いのは分かっている。一番弱いんだから、思い切って行け」と言われたとのことで、静かな口調だったそうだ。いずれマットサイドで「行け、希和! 気合いだ!」というシーンが見られるかもしれないが、今回は父のいないところで全力ファイト!
選手団は下記の通り。
【団 長】小野教太郎(ハンズコーポレーション)
【監 督】笹山秀雄(自衛隊)
【コーチ】吉村祥子(エステティックTBC)、齋藤将士(警視庁)
【ドクター】長尾卯乃(駒込病院)
【トレーナー】高橋あすか(ファクトリージャパン)
【帯同審判】小池邦徳(奈良・天理教校学園高教)
【選手】
▼48kg級 入江ゆき(九州共立大)
▼51kg級 宮原 優(JOCアカデミー/東京・安部学院高)
▼55kg級 浜田千穂(日体大)
▼59kg級 栄 希和(至学館大)
▼63kg級 伊藤友莉香(環太平洋大)
▼67kg級 飯島千晶(日大)
▼72kg級 鈴木博恵(クリナップ)