2013.02.27

ハンガリー遠征の男子グレコローマン全日本選抜チームが帰国

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

ハンガリーへ遠征していた男子グレコローマンの全日本選抜チームが2月26日、成田空港着のオーストリア航空で帰国した。

 チームは現地での合宿のあと、ゴールデン・グランプリ予選大会「ハンガリー・グランプリに出場。55kg級の決勝が日本人対決となり、全日本王者の田野倉翔太(日体大)が優勝、国体王者の清水早伸(自衛隊)が2位となって日本の強さを見せた。

 元木康年監督(自衛隊)は、合宿は「選手が積極的に挑んでくれた。外国選手と練習することで、世界との差というか、自分の実力を知ったと思う。アジア選手権や世界選手権に向けて課題に取り組んでほしい」と総括。

 日本人対決が実現した大会では、他国のコーチから「日本の軽量級は強いね」と称賛されたそうだが、「私からすれば、まだまだ。ロシアとか一線級が来ているわけではないし、これで満足していてはならない。軽量級も重量級も、これから強化していかければならない」と厳しく話した。

しかし、最後に「セコンドにつかず(他の選手にセコンドについてもらい)、日本選手の対戦を見るのは気分がよかったですね」と笑い、今後の遠征でもこうしたシーンが再現されることを望んだ。

■反省もあるが、「優勝は素直にうれしい」…55kg級・田野倉翔太

 海外で初優勝となる田野倉は「オリンピックに出た選手がエジプトの選手だけで、そんなに強い選手ではなかった。レべルの高い大会ではなかったから…」と言いながらも、「優勝は素直にうれしい。清水先輩に勝てたことも」と一定の評価。

 遠征前から首を痛めていて、合宿では追い込むというより技術習得が中心という練習だったそうで、そのことがかえって「(勝てなくても仕方ない、という)リラックスになったのかな」と言う。「けがをした状況でもコンディションをつくる練習にはなりました」と、今後に役立つ経験になった。

 技術的には「ヨーロッパの選手はリフトのステップが早い」ことを学び、それに対応する防御力を身につけなければならないことを痛感。強豪がいなかったこともあって、「まだ世界の中の自分の位置は見えていない。下の方でしょう」と話し、課題を克服して今年の世界選手権出場を目指す。

清水は2011年10月の「サンキスト国際大会」(米国)優勝に続く国際大会のメダル獲得。「接戦の試合があった。まあ、競り勝てたのはよかった」と振り返り、自分のやってきた技が通用して持ち味を出せた試合もあって及第点。しかし、決勝で国内のライバルに負けたことは残念そう。「手の内は分かっている。それに対応できなかったのは駄目ですね」と反省した。

 合宿では、外国選手の技術以上に積極性を感じたという。「すぐにスパーリングやろう、と求めてくる。この気持ちが大切だと思った」と感じるものがあったようだ。

 成田空港では、ウィーンから同じフライトで帰国した女性のグループから「メダルを見せてほしい」とねだられ、記念撮影も求められる人気ぶり。スターの気持ちをちょっぴり味わって気持ちをよくし、6月の明治杯全日本選抜選手権での優勝を目指す。