※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
55kg級優勝の田野倉(左)と2位の清水
チームは現地での合宿のあと、ゴールデン・グランプリ予選大会「ハンガリー・グランプリに出場。55kg級の決勝が日本人対決となり、全日本王者の田野倉翔太(日体大)が優勝、国体王者の清水早伸(自衛隊)が2位となって日本の強さを見せた。
元木康年監督(自衛隊)は、合宿は「選手が積極的に挑んでくれた。外国選手と練習することで、世界との差というか、自分の実力を知ったと思う。アジア選手権や世界選手権に向けて課題に取り組んでほしい」と総括。
日本人対決が実現した大会では、他国のコーチから「日本の軽量級は強いね」と称賛されたそうだが、「私からすれば、まだまだ。ロシアとか一線級が来ているわけではないし、これで満足していてはならない。軽量級も重量級も、これから強化していかければならない」と厳しく話した。
元木康年監督(背中)と選手たち
■反省もあるが、「優勝は素直にうれしい」…55kg級・田野倉翔太
海外で初優勝となる田野倉は「オリンピックに出た選手がエジプトの選手だけで、そんなに強い選手ではなかった。レべルの高い大会ではなかったから…」と言いながらも、「優勝は素直にうれしい。清水先輩に勝てたことも」と一定の評価。
遠征前から首を痛めていて、合宿では追い込むというより技術習得が中心という練習だったそうで、そのことがかえって「(勝てなくても仕方ない、という)リラックスになったのかな」と言う。「けがをした状況でもコンディションをつくる練習にはなりました」と、今後に役立つ経験になった。
技術的には「ヨーロッパの選手はリフトのステップが早い」ことを学び、それに対応する防御力を身につけなければならないことを痛感。強豪がいなかったこともあって、「まだ世界の中の自分の位置は見えていない。下の方でしょう」と話し、課題を克服して今年の世界選手権出場を目指す。
同じフライトで帰国した女性ツアー客に「メダルを見せてほしい」とねだられた清水。
合宿では、外国選手の技術以上に積極性を感じたという。「すぐにスパーリングやろう、と求めてくる。この気持ちが大切だと思った」と感じるものがあったようだ。
成田空港では、ウィーンから同じフライトで帰国した女性のグループから「メダルを見せてほしい」とねだられ、記念撮影も求められる人気ぶり。スターの気持ちをちょっぴり味わって気持ちをよくし、6月の明治杯全日本選抜選手権での優勝を目指す。