※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
国際オリンピック委員会(IOC)の理事会による2020年五輪の除外勧告競技にレスリングが挙げられたことの責任を問われたラファエル・マルティニティー会長(スイス=右写真)が辞任することになった。
ロシアなどから責任を問う声が上がり、信任投票の結果、11対10で不信任が上回った。FILAのホームページによると、マルティニティー会長は自らの持ち票を投じなかったそうで、この結果を受け入れたという。同氏はFILAの理事にはとどまり、2014年までの任期をこなすことが記載されているが、理事会の不信任が決議されたあとは会議に参加しなかったという。
マルティニティー会長は2002年、それまで30年間にわたって会長職を務めたミラン・エルセガン氏の後任として第6代会長に就任。世界選手権とアジア選手権は3スタイル(男子フリースタイル、男子グレコローマン、女子)を同時に開催することとして大会のグレードを挙げ、それまでFILAが一方的に決めていたルール改正を、加盟国から意見を集め、テストしてから決めるなどの改革に取り組んだ。
女子の実施予定がなかった2005年ユニバーシアードや2006年アジア大会に組織委員会相手の粘り強い交渉で女子の採用を実現させるなどの外交手腕を発揮。女子を認めないイランに世界選手権を開催させないなどの“制裁”を実施して女子の普及にも取り組み、五輪の女子7階級実施の実現にも意欲を見せていた。
一方、審判委員長を兼任しており、権力の一極集中との批判もあった。2005年世界選手権(ハンガリー)では、国際オリンピック委員会(IOC)のジャック・ロゲ会長を招へいするなどしたが、IOC委員ではなかったことで、IOCの情報を入手しづらい立場にあり、今回の事態を招いたとも言われている。