※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
国際オリンピック委員会(IOC)は2月12日、スイス・ローザンヌで理事会を開催し、2020年五輪の実施競技からレスリングを外すことを決めた。
レスリングは今後、採用を目指す7競技(野球&ソフトボール、水上スキーのウエークボード、空手、スカッシュ、スポーツクライミング、ローラースポーツ、武術太極拳)と1枠を争う“敗者復活戦”に臨むことになり、5月の理事会で絞り込まれ(1競技か数競技かは不明)、9月の総会で正式決定する。
除外の決定は、若者への浸透度やチケットの売れ行き、五輪で実施するにあたってのコスト面などを評価して決定されたもよう。報道によると、除外が検討されたのはホッケー、テコンドー、カヌー、近代五種、レスリングで、その中からレスリングが外れたという。
IOCのマーク・アダムス広報部長はレスリングが外れた理由を「人気、国際性、男女の選手の比率などを考慮して、理事会で協議した結果、最終的に投票で決めた」と話した。投票は理事15人のうち、ジャック・ロゲ会長を除いた14人の投票で行われ、除外賛成票が過半数に達するまで投票を行い、最後は近代五種との決選投票でレスリングが敗れたという。
時事通信によると、AFPはIOC関係者の話として「本当にショック。予測の中になかった」というコメントとともに、「レスリングと近代五種がきん差だった。おそらく1票か2票で当落が分かれた。近代五種とテコンドーは効果的なロビー活動を行った一方で、レスリングは自分たちが安全だと考えたのだろう」との談話を紹介した。
レスリングは近代五輪の第1回大会となった1896年アテネ大会で実施され、1900年パリ大会を除いて毎回実施されてきた。
福田富昭会長は「全くの寝耳に水。先週、FILA会長と会ってきたが、そんな話は出ていなかった。世界のレスリング界が驚いている。不満だし、不可解。IOCがレスリングを外した理由を聞きたい。9月の総会での復活に向けて全力を尽くす」と話した。